夏のハードスケジュールで思ったように体重を維持できなかったり、増量計画がうまく進まなかったりした人がいるかもしれません。秋に向けて、改めて計画的に体作りをしていきましょう。

前回のコラムでは、増量したいなら、まず自分の今の位置を知ることが大切だとお伝えしました。今回は、摂取エネルギーの増やし方についてお話しします。

効率的な増量のための摂取エネルギーの増やし方

体重を増やしたいと思うと、食べることが楽しくなくなり、苦しいものになりがちです。急にはたくさん食べられませんし、無理も続きません。目標を明確に持ち、効率的に増量をする方法を学び、一口ずつ増やしていくようにしていきましょう。

(1)タンパク質を増やす
 一般的にアスリートは、「体脂肪量を減らそう」としますが、逆の発想で、脂肪以外の体重である「除脂肪量を増やそう」と意識することが大切です。そのためにも、タンパク質はしっかりと確保しなければなりません。

(2)ビタミンB6も一緒にとりましょう
 ビタミンB6 は、タンパク質が筋肉を作る材料として活用するのを助けます。レバー、カツオ、バナナなどに豊富です。

(3)主食以外で糖質を増やす工夫をしましょう
 糖質が不足すると、タンパク質がエネルギー源として使われてしまいます。ご飯をたくさん食べられない人は、糖質の多い食材を使ったおかずを用意しましょう。例えば、焼きそばやパスタサラダ、餃子、肉じゃがなどのイモを使ったおかずなどを取り入れましょう。

(4)こまめに補食をとりましょう
 1日3回の食事だけでは、増量するほどのエネルギーを摂るのは難しく、また1回にたくさん食べられない人は食べる回数を増やして、1日の全体量を上げることがポイントです。

ある高校生ラグビー選手の食事例

私が個人契約して増量をサポートしている高校生のラグビー選手は、朝食後3時間ごとに、糖質とタンパク質補給を意識して除脂肪の増量に成功しています。その選手が自分で組んだ、ある日の食事スケジュールを挙げてみましょう。

・朝食(自宅)
・2時間目終了後=サケおにぎり1個
・昼食
・午後2時半の休み時間=バナナとスティックパン
・練習後=エネルギーゼリー
・夕食(自宅)
・就寝前=牛乳

毎日体重測定と食事記録を行っていますから、自分で、食事の量や内容を変化させて調整しています。皆さんも、自分の生活パターンに食事計画をどう組み込んでいくかを考えて、今日からできることをコツコツ実行していきましょう。

成長ホルモンを多く分泌させるために

身長を伸ばすということで有名な「成長ホルモン」は、「体重を増やしたい」「体を大きくする」ためにも重要になります。成長ホルモンを多く分泌させるために、栄養と休養をしっかり確保して、消費するエネルギーよりも摂取エネルギー量を増やし、増量につなげましょう。

今回は、補食でもエネルギーやタンパク質がとれる「大豆粉のクルミブラウニー」を紹介します。大豆粉(※)は、生の大豆を粉末にしたもので、私が経営している「くるみキッチン+」の定番商品で、大変人気があります。

一度にたくさん作って冷凍保存しておくこともできます。解凍せずに学校や練習に持って行き、補食として活用してください。

静岡スポーツ栄養研究会/管理栄養士・中野ヤスコ

※大豆粉については以下を参照
きな粉と大豆粉は何が違う?大豆加工品のいろいろ/キッチンは実験室(52)