6月下旬ともなると、大変蒸し暑い日があったり、梅雨の晴れ間で厳しい猛暑に見舞われたりします。選手たちのサッカーノートにも、「暑さに負けないからだづくりをしたい」や「水分補給を意識したい」などの振り返りがあり、暑さから自身の体に変化を感じている様子が分かります。

暑い季節を乗り越えるためにも、アスリートにとってしっかり食べることが大切なことは言うまでもありません。特に、主食(ごはん、パン、麺など)から十分なエネルギーを摂取し、エネルギー不足を防ぎたいですね。

主食に「ごはん」を勧めるけれど…

私たちスポーツ栄養士はアスリートに、主食の中でもごはんを勧めることが多くあります。ごはんは、「たくさんの糖質が摂取できる」「脂質が少ない」「水分も多く含んでいる」「様々なおかずと相性が良い」のほか、やっぱり日本人なので…と色々な理由があります。

もちろん、パンを否定しているわけではありません(もちろん、小麦粉が体に合わない選手やアレルギー体質の選手にとっては食べない方がコンディションが良くなります)。「しっかりと食べよう」と意識している選手の中には、ごはんよりもパンが好きな選手もいますし、「暑い時はパンの方が食べやすい」という選手もいます。

そこで今回は「パンなら食べられる」「パンの方が食べやすい」という選手のために、パンの特徴について考えてみたいと思います。

パンのメリット・デメリット

まず、パンのメリットとデメリットについて明記します。

パンのメリット
・手軽で食べやすい
・種類によっては消化が良いものもある
・常温で夕方まで保存をしていても衛生的に問題がない
・サンドイッチなどにして、色々な味を楽しめる

パンのデメリット
・脂質の多く含まれているものがある
・パン食でのおかずが、ベーコンやウインナソーセージなど油が多いものになる
・一緒に食べるサラダのドレッシングも油が使われているものが多い
・おかずがなくても食べられる

つまり、脂質が多くなりやすいということがデメリットの1つに挙げられます。ただ、油脂についてはNGではありません。エネルギー不足になりやすい選手や成長期の選手は、試合日などでなければ気にする必要はありません。

スポーツ選手は、食べるものを選ぶ力をつけることがとても大切です。それに加えて、好きなものをおいしく食べることも大切にして欲しいですね。タイミング、目的に沿って、大好きなパンの中からどんなパンを選べばよいのか、考えて欲しいと思います。

パンの脂質
油の少ないパン=食パン、ぶどうパン、ロールパン、ベーグル、フランスパン、あんぱん 、ジャムパン 
油が多めのパン=クロワッサン、デニッシュパン、メロンパン、ドーナツ、カレーパン
※参考書籍「エネルギー早わかり」(女子栄養大学出版部)

また、朝食でパンを食べている選手の場合、ごはんの場合と比較するとおかずが不足しているように感じています。「パンだけ」になることがないように、主菜・副菜となるものも摂って欲しいと思います。

今回は、朝食のパンメニューとしておすすめのおかず「豆乳の野菜たっぷりスープ」を紹介します。前回紹介した「新ジャガのおひさまピザ」同様、新ジャガをたっぷり使い、おかずからも糖質補給ができる1品です。タンパク質源となる鶏肉と季節の野菜を煮込み、豆乳でまろやかに仕上げてあります。

「豆乳の野菜たっぷりスープ」に乳製品や果物も加えてさらにバランスよく
「豆乳の野菜たっぷりスープ」に乳製品や果物も加えてさらにバランスよく

朝食では牛乳やヨーグルトなどの乳製品を摂っていると思いますので、ここでは豆乳を使用しましたが、牛乳にアレンジしてもOKです。ただ、豆乳の方が不足しがちな鉄分が摂取できるので、豆乳のスープと別に乳製品をとることをお勧めします。

暑い季節、自分がどのようなものが食べやすいのかを考えて、暑さに負けない体作りを心がけてださい。

静岡スポーツ栄養研究会/管理栄養士・青島千恵