先日、ある高校野球部寮の調理を担当する方から、「選手のために考えた献立を提供しても、食べる努力をしない生徒がたくさんいる」との相談を受けました。残念ながら寮生の意識が低く、野菜が苦手な選手が多いようでした。

こういう場合は、継続的に関わっていかないと難しいと感じています。その調理担当の方は、栄養講座などを実施できるよう部のスタッフと相談してくれるとのことでした。

野菜嫌いな男子選手の相談を受けた翌日、保育科の短大生たちとの今年度初めての授業があり、「彼氏や周りの男子学生たち、野菜をちゃんと食べてる?」と話題にしました。野菜をはじめ食事をしっかりとるかどうかは、アスリートとしての意識の問題ではありますが、やはり、小さい頃からの習慣が大切であると実感。「食の大切さを伝えられる保育者になって欲しい」と、保育士の卵たちには伝えました。

クレオパトラも食べた野菜

そんな日の帰り道、青果店をのぞくと、夏野菜がたくさん並んでいました。「王様の野菜」と言われるモロヘイヤも出回っていました。

モロヘイヤの原産地はインド西部からエジプトなどで、古代エジプトの王様やクレオパトラが食べたとも言われ、アラビア語で「王家の野菜」を意味する「ムルキーヤ」が語源とされています。カロテンの含有量が特に多く、ビタミンB群やビタミンC、カルシウムなども非常に豊富で、その栄養価の高さはまさに「野菜の王様」。サッとゆでて、あえ物やおひたしにしたり、モロヘイヤの超簡単スープやみそ汁の具にしたりしてもおいしくいただけます。

今回は、そんなモロヘイヤを使った「夏野菜たっぷり甘辛たれの冷やっこ」を紹介します。ゆでたモロヘイヤを包丁で細かく刻み、ネバネバになったものとオクラ、ナメコでたれを作り、豆腐にかけてみました。

野菜が苦手な選手にも食べやすいように、めんつゆで味付け。豆腐を含めて約100kcalのヘルシーな1品です。

モロヘイヤに多く含まれているカロテンは油に溶けやすい性質があるため、油と一緒に摂ることで吸収率がアップします。エネルギー制限がない場合は、お好みでオリーブオイルやゴマ油をちょい足ししてみてください。

ゆでた肉やそうめんにトッピングしても

「夏野菜たっぷり甘辛たれ」をゆでた肉(豚しゃぶ、ゆで鶏など)やそうめんにかけて、アレンジしても良いですね。豆板醤を混ぜてピリ辛にしてもおいしいです。

野球部の寮のメニューとして、このレシピを朝食の1品にすすめてみたところ、早速採用してくれました。このほか塩サケ、根菜たっぷりのみそ汁、牛乳、果物と山盛りのご飯の献立にしたそうです。

家庭菜園での収穫、種子や茎は食べないで

なお、売られているモロヘイヤは茎の部分もおいしく食べられますが、家庭菜園などで作ったモロヘイヤは収穫時期に十分留意し、毒性がある種子やさやが混入しないよう注意し、茎は食べない方が良いと言われています。

静岡スポーツ栄養研究会/管理栄養士・青島千恵