暑くなる時期は、脱水や熱中症予防が大切です。どのタイミングでどのくらい水分を摂るのが良いのかは、過去の記事や関連コラムを確認いただければと思いますが、一口に「水」と言っても色々な種類があります。今回は「水」について触れていきます。

ペットボトルなど購入ミネラルウォーター

ペットボトルやウォーターサーバーなどで購入するミネラルウォーターとは、地下水を原水とするものです。カルシウム、ナトリウム、マグネシウムなどのミネラルが一定水準より多いものを「硬水」、少ないものを「軟水」と呼び、一般的に日本では軟水が多いとされています。

コントレックス、ヴィッテル、ペリエ、ゲロルシュタイナーなどのブランド名で販売されている海外の水はミネラルが多い硬水なので、カルシウムが不足気味の人や発汗の多いアスリートは補給もできてむいています。しかし、飲み過ぎるとマグネシウムの作用で便が柔らかくなるので、お腹が弱い方は注意しましょう。また、硬水は苦みがあるため少し飲みにくく、お茶や紅茶には向いていません。

国産でもミネラルの多い硬水が売られています。深海でとれる「海洋深層水」はミネラルが多い場合があるので、成分表示を確認しましょう。

ミネラルウォーターや浄水器、炭酸水 「水」のあれこれ
ミネラルウォーターや浄水器、炭酸水 「水」のあれこれ

水道水をおいしく浄水器、塩素除去で…

機種によって除去できる物質が異なりますが、トリハロメタンや鉛、カビ臭、塩素などが除去できるため、水道水がおいしくなります。水道の蛇口に取り付けるもの、ポット型、ビルトイン型、ウォーターサーバー型のものなど種類は様々です。カートリッジの交換など費用はかかりますが、手軽に利用できます。

塩素を除去してしまうために腐敗しやすいのが難点で、常温で長時間の保存には向いていません。これはペットボトルのお茶や水にも共通することですが、目安として常温なら当日中、冷蔵庫に入れても24時間以内に飲みきるように心がけましょう。

日本の水道水の基準は安全で、そのまま飲んでも問題がないと言われています。浄水器がない場合、より水道水をおいしくするには、10分ほど沸騰させて塩素を抜くことです。沸騰中、やかんの蓋を少し開けておくと、塩素が抜けやすくなります。ただし、長時間沸騰させすぎると、水の中の酸素や二酸化炭素も抜けてしまうため、逆においしくなくなるので注意してください。

炭酸水で血管拡張、乳酸の排泄促進

炭酸水とは水に二酸化炭素が溶け込んだもので、清涼感があるため、暑い時期は飲みたくなる人が多いのではないでしょうか。炭酸水を飲むと血中の二酸化炭素の濃度が高まり、排泄しようとするため、血管を拡げて血流が良くなります。乳酸の排泄も促進します。

また、炭酸ガスが胃を刺激し、消化管のぜん動運動を促進するため、ゲップが出やすくなります。便秘の人には良いのですが、胃潰瘍や逆流性食道炎の人は控えた方が良いでしょう。

炭酸水を購入するほか、自宅で炭酸水メーカーを使って作る方も増えていますが、専用器具がなくても作ることができます。水200mlに対し、重曹1gとクエン酸1g(どちらも食品添加物表示のあるもの)を加えるだけです。重曹にはナトリウムが入っていますので、少し塩辛く感じますが、試してみてください。

なお、砂糖入りの炭酸飲料は砂糖の量が多く、500mlのペットボトル1本で200kcalもあるものがあります。減量中の人は避けましょう。

このように「水」と言っても色々あります。どうせ飲むならおいしく飲みたいもの。喉が渇く前からこまめに水分を摂り、今年の夏を乗り切りましょう。

【管理栄養士・今井久美】