<栄養素を無駄なく摂る食べ方:ハーブ編>
バジルはインド原産と言われるシソ科の多年草ですが、日本では一年草として扱われます。インドでは5000年以上前から栽培されてきました。種類は多くありますが、一般的にバジルと呼ばれているのは「スイートバジル」です。
古代ギリシャでは「王様の薬草」と呼ばれ、古くから薬効が知られていました。日本へは江戸時代に中国から薬として伝わりました。種子に水を含ませるとゼリー状になり、これで眼の埃を取ったそうです。和名を「目箒(めぼうき)」と言います。
鮮やかな濃い緑色で、葉先までピンとしてハリがあるものを選びましょう。茎がしっかりしているものほど香りが強い傾向にあります。
◆主な栄養素と無駄なく摂るコツ
バジルは緑黄色野菜に分類され、ビタミン・ミネラルが豊富なことに加え、ファイトケミカル(フィトケミカル)が注目されます。ファイトケミカルは香気成分や苦み成分などの植物が持つ自分自身を守る力で、強い抗酸化力があります。
バジルの香気成分には殺菌、抗ウイルス、抗炎症、鎮痛、消化促進、解毒、強壮、鎮静など様々な作用があります。「羅勒(らろく)」という生薬としても使われ、風邪や気管支炎などの予防効果もあります。
バジルはトマトとの相性が良いですね。「カプレーゼ」はトマトとの相乗効果で抗酸化力が強く、オリーブ油の脂質、チーズのタンパク質がプラスされ、ビタミン・ミネラルの吸収率が上がり、バジルによる消化促進効果もあるので疲労回復におすすめの食べ方です。
包丁で刻むより、手でちぎった方が香りが立ちます。香気成分や水溶性のビタミンは時間の経過とともに減少するので、早めに生食するのが最も多く摂取できる食べ方です。
種(バジルシード)はスーパーフードとして注目されています。水を加えると約30倍に膨らみ、グルコマンナンでおおわれます。グルコマンナンはコンニャクにも多く含まれている水溶性食物繊維です。低エネルギーで満腹感が得られ、コレステロールや血糖値を下げる効果や便秘改善などが期待できます。
期待される健康効果は、ガン予防、風邪予防、食欲増進、消化促進、鎮痛、疲労回復、生活習慣病予防、強壮作用、アンチエイジング、リラックス効果などです。
◆保存するなら
バジルの保存適温は10~15℃です。低温障害を起こしやすいので、生のまま保存する場合はグラスなどに生けておきます。
香気成分や水溶性の栄養素は減少しますが、冷凍保存も可能です。洗ってから水けをきり、保存袋に入れて冷凍します。凍ったまま加熱調理に使います。
オイル漬けやドライもできますが、ナッツやニンニク、チーズ、オリーブ油などとともに「ジェノベーゼ(バジルソース)」にしておくと使い勝手が良いです。冷蔵では1週間ほど、冷凍なら数カ月保存できます。パスタはもちろん肉や魚のソテー、グリルなどに幅広く使えます。
【管理栄養士・高木小雪】