スポーツ選手は、夏場以外でも脱水予防のために、水分摂取を勧める注意喚起がなされます。同時に脱水を予防するために塩分の摂取も勧められ、タブレットや飴も何種類か販売されています。

涼しい時期にも塩分を補った方が良いのでしょうか?

2020年4月から活用される「食事摂取基準2020年度版」では、高血圧予防を目的として、1歳以上の子どもから食塩相当量の目標量が設定されています。今回の改定で18歳以上の男性7.5g未満、女性6.5g未満とさらに引き下げられ、それに伴って18歳未満の目標量も引き下げされています。「通常の食生活では不足や欠乏の可能性はほとんどない」と記載されており、塩分の過剰摂取を防ぐことの重要性がより明確に示されました。

以前、「アスリートと食塩、どれくらいが必要か?」のコラムでも書きましたが、18歳以上が生体を維持していくのに必要な量は、男女とも食塩相当量で1.5gとされています。しかし、実際はその6~8倍の量を摂っていることを考えると、確かに不足のリスクは低そうです。

短時間に大量の汗をかく夏場のスポーツ時は、汗と一緒に排出されるナトリウム量も多くなることから、水分と一緒に食塩も摂取した方が良いこともありますが、食事が十分摂れていて、運動時にスポーツドリンクを飲んでいる場合は、それ以上の塩分を摂る必要はないでしょう。

季節を問わず、大量に汗をかくためにタブレットなどを利用する場合は、タブレット1個にどれくらいの食塩相当量が入っているかを確認し、運動前、運動中、運動後のタイミングで不足分を補う程度にしましょう。

【管理栄養士・今井久美】