<アスレシピ特派員紹介>

特派員、認定アンバサダーの石井ゆかりさんは、息子さんが少年野球を頑張っていた小学生の頃、ある出来事をきっかけにスポーツ栄養を学び始めたといいます。その経験が、今頑張っているお母さんたちに寄り添いたいという思いの原点になっています。【聞き手=アスレシピ編集部】

石井ゆかりさん
石井ゆかりさん

食パン1枚の朝食でスタミナ切れ

現在大学生の息子さんが少年野球チームに所属していた小学生の頃、ある出来事がありました。

「小学2年から野球を始めた次男は、毎週土日はダブル、トリプルで試合をしていました。当時中学、高校生だった長男や長女は家にいましたが、平日は夫婦共働き、土日も朝から一緒に応援に出かけてしまうという毎日で、食事の準備にまで手が回りません。その結果、カレーやシチュー、パスタに缶詰のソースをかけるといった、手間のかからないメニューばかりを食卓に並べていました」。

ある真夏の試合で、ピッチャーだった息子さんに異変が起こります。

「次男は朝食に、5枚切りのトースト1枚を食べたのみでマウンドに立ちました。当然、集中力もスタミナも切れ、結果はボロ負け。その時に初めて、食事をおろそかにしてはいけないと学んだのです。そこからアスリートフードマイスターの勉強を始めました」。

スポーツ栄養を学び、魚定食を取り入れ始めた小学6年の頃の食事
スポーツ栄養を学び、魚定食を取り入れ始めた小学6年の頃の食事

試合当日は集中力も必要です。そこで、DHAやEPAといった脳の働きを活性化させる栄養素がとれる、魚定食を中心にしました。さらに試合が続く時には、一口サイズのおにぎり数個や飲むゼリーなどの補食を必ず持たせました。

中学時代は一汁四菜となり、タンパク質を多めにとるようにしていました
中学時代は一汁四菜となり、タンパク質を多めにとるようにしていました

「中学になってクラブチームに入ると、帰宅が夜10時を過ぎることが多くなりました。少しでも疲労回復を早められるようにと、夕食には野菜メインの消化のよいうどんメニューをよく作りました」。

石井さんの投稿から。疲労回復と消化のよさを考えた「豚キムチおろしうどん」
石井さんの投稿から。疲労回復と消化のよさを考えた「豚キムチおろしうどん」

料理の段取りを前の日にしておき、当日はさっと仕上がる「ズボラレシピ」を編み出したのもこの頃です。息子さんは中学の3年間で、身長が25cm伸び、体重は20kg増えました。

「高校からは親元を離れ、寮生活になりましたが、これまでの経験から食事の大切さを身をもって感じていたのか、休みの日には釣りに行き、友だちに魚を調理してふるまうこともあったようです。帰省すると手料理をたっぷり食べ、体重を増やして戻っていきました。おかげで小学校から高校まで、ケガも故障もなく終えることができました」。

寮生活をしていた高校時代、帰省すると手料理をたっぷり食べてくれました
寮生活をしていた高校時代、帰省すると手料理をたっぷり食べてくれました

大学では、1人暮らしをしながら準硬式野球に励んでいます。

「学校とバイトが忙しく、外食が多くなりましたが、それでもインスタントラーメンだけなどではなく、定食屋さんを選んで食べているようです。それだけでも、私が費やしてきた時間は無駄じゃなかったなと嬉しくなります」。

骨は成長期に長く、太くなる

少年野球チームで栄養の話をする機会もあるという石井さんですが、そこでは「背が伸びない」「食が細い」と悩む親御さんが多いそう。

少年野球チームのお母さんたちに、栄養の話をさせていただくことも(写真は2019年のものです)
少年野球チームのお母さんたちに、栄養の話をさせていただくことも(写真は2019年のものです)

「身長に関しては、伸びるタイミングには個人差があるから焦らないでと伝えています。焦るあまり市販品に頼るのではなく、日々の食事でしっかりした骨を作ってほしい。私がおすすめしているのは、普段の食事に小魚を取り入れることです。成長期は骨を長く、太くするチャンスなので、小魚をとる習慣をつけて、ケガに負けない体作りにつなげてほしいと思っています」。

石井さんの投稿から。煮干しの頭の部分で作る「だしふりかけ」は、パックに入れて煮出せば、本来のだしとしての役割も果たす優れものです
石井さんの投稿から。煮干しの頭の部分で作る「だしふりかけ」は、パックに入れて煮出せば、本来のだしとしての役割も果たす優れものです

「料理は手間抜き」どんどん楽して

石井さんは、冷凍生活アドバイザーやつくりおきマイスターなどの資格を次々と取得。アスレシピにもさまざまな時短テクを投稿してくれています。中でもおすすめなのが、野菜の冷凍保存とのこと。

野菜は買ってきたらそれぞれ食べやすく切り、分けて冷凍しています
野菜は買ってきたらそれぞれ食べやすく切り、分けて冷凍しています

「野菜類は買ってきたら使いやすい大きさに切り分け、ジッパー付きの保存袋に入れて冷凍保存しておくと、日々の料理の時短に役立ちます。冷凍することで組織が壊れ、火の通りも味の染み込みもぐっと早くなるんです。大根は首、真ん中、先端と3つに分けておくといいですよ。真ん中と先端は1~2cm厚さの輪切りや半月切りに。首側は少し大きめに切っておくと、凍ったまま大根おろしも作れて便利です。解凍なしで調理OKです」。

大根は首、真ん中、先端と3つに分けて冷凍します
大根は首、真ん中、先端と3つに分けて冷凍します

冷凍のメリットは、時短だけにとどまりません。

「冷凍庫に野菜があるな、と思うと、何にでもちょこちょこ加えられて、野菜の摂取量アップにもつながります。腐らせてしまうこともなくなって、フードロスの削減にもなりますよ」。

毎日頑張っているお母さんには、「ハードルを上げ過ぎないで」と話します。

「どの世界でもそうですが、上を見たら素晴らしい方は大勢います。比べてしまうと、どうしても自分はダメだとネガティブな気持ちになってしまいますが、自分は自分。どうか完璧を目指すのではなく、ハードルを低く、ベターを続けてほしい。毎日をポジティブに過ごすために、日々の料理は上手に『手間抜き』して、自分の時間も楽しんでほしいと思っています。そのための助けとなる『ズボラレシピ』を、これからもどんどん紹介していきます」。

石井さん考案のレシピも掲載「アスリートレシピ」

アスレシピでは、スポーツに励むお子さんや家族を食で支える特派員・サポーター考案のレシピをまとめた「成長期の子どものためのアスリートレシピ」を発行しています。

「アスリートレシピ」に掲載の石井さんのレシピ
「アスリートレシピ」に掲載の石井さんのレシピ

サイトで紹介してきたたくさんのレシピから、今回は主食・お弁当・補食の100品を厳選。文中で紹介した「豚しゃぶキムチうどん」ほか、石井さんのレシピも掲載されています。各家庭でスポーツを頑張る子どもたちに作られてきた料理の数々を、皆さまの毎日にもぜひお役立てください。プリントオンデマンド(POD)と電子書籍があります。