電子レンジで焼き芋はおいしくない?

中心から火が通る、短時間で調理ができる。電子レンジのメリットは早く加熱できることです。次のような便利な点があります。

中は生焼けで焦がしてしてしまったハンバーグを、再度フライパンで焼こうとすると5分以上かかるのに、電子レンジでは500W45秒で解決。
ホウレン草を茹でる際、鍋では5分かかるのがレンジでは500W1分半。
ケーキもオーブンで15分かかるのに電子レンジだと2分。ちなみに、以前紹介したシフォンケーキも600W3分で完成しました(参考:卵白が泡立つのはどうして?メレンゲがもっちりする理由)。

しかし、一気に中心部から高温になってしまう、早いゆえのデメリットもあります。

石焼き芋は約60℃にゆっくり加熱することで酵素アミラーゼが働き、でんぷんが糖に分解されて、より甘くなります(参考:気のせいじゃなかった!石焼き芋が甘い理由)。電子レンジを使うと急激に高温になってしまうために、この酵素による化学反応が進まないのです。

あたためと何が違う?解凍モード

さて、製品によっても違いますが、解凍モードがあるのはなぜでしょう。凍っている部分は発熱しにくいのですが、解凍し始めて水になると発熱しやすい食材の性質が関係しています。そのため温度むらが大きくなり、部分的には凍っているのに部分的には煮えているような現象が起こってしまい、肉や魚など生ものをうまく解凍できなくなってしまうからです。

そのため、解凍モードではエネルギーのワット数を低くしています(通常のあたためでは600Wに対し、解凍モードは100~200Wなど)。これにより、解凍されて水になった部分の温度の急な発熱を防ぎ、ゆっくり時間をかけて解凍することで解凍むらを防ぎます。機種によっては、電波の照射を断続的に行って温度を均一化させるものもあります。

押さえておこう!電子レンジの特性

それでは電子レンジの特性をまとめましょう。

少量だと鍋よりもレンジの方が加熱時間の短い場合がある(量が多くなると時間がかかる、量と時間とワット数は比例関係)
容器に入れたまま加熱できる(容器、紙、プラスチック)
水分が蒸発しやすい
オーブンや鍋で焼くのと同じ品質にはならない(焦げ目がつかない、硬くなる)
レンジの庫の温度は上がらない(オーブンと違い空気は暖まらず、食品自体が温まる)

これらを踏まえて、個人的にお勧めするのは次の使い方です。

解凍や加熱など調理の下ごしらえ
食べる直前の温め直し
容器に入れたまま短時間でできる
茹でるのと違い、野菜の栄養価を損ねず調理ができる
バターやチョコを焦がさずに溶かすことができる

食べる直前に鍋を汚すことなく、チン! で温め直すことができるのは電子レンジの魅力ですよね。

電子レンジでの調理に関しては、食育や料理研究家の中で賛否両論ありますが、個人的にはうまく使うとより調理が楽になると思っています。何よりお弁当をお弁当箱や容器ごと温めたり、冷めてしまった飲み物を温めたり、硬すぎて包丁では切れないカボチャを少し柔らかく切りやすくしてくれたりしてくれるので、ご家庭にある製品をより便利に使っていただけたらと思います。

後編では電子レンジのより実践的な使い方、応用編をお伝えします。