メーカーによって味わい変わる

しょうゆの塩分が海水の5~6倍なのに塩辛くないのは、アミノ酸や乳酸の成分が塩味をやわらげ、深みのある味わいを作っているから。口先に広がるしょうゆの甘味は、小麦のでんぷんがブドウ糖に分解されるからで、乳酸菌の働きで生まれた酸味が味を引き締めます。

コクを与える隠し味としての苦味も含まれ、しょうゆの独特のおいしさは「うま味」はもちろん、「甘味」「酸味」「塩味」「苦味」の5つの味のバランスによって作られているのです。先日、しょうゆ蔵の見学に行き、味比べする機会がありました。同じこいくちしょうゆでも、メーカーによって全然味が違います。その土地特有の空気や菌が、独特の味わいを作り上げるものなんだなと思いました。

そもそも材料は白いのに

ところで、材料の塩、小麦、大豆、麹はどれも白っぽい、ベージュ色なのに、なぜしょうゆは焦げ茶や黒っぽいのか、疑問に思いませんか?

しょうゆの黒色とかけてホットケーキの焦げと解く。その心は…「メイラード反応」という科学反応です。以前紹介した「お絵かきホットケーキ」「あめ色タマネギ」「どら焼きの皮」と同じく、「糖」と「タンパク質(アミノ酸)」が加熱によって結びつき、茶色い焦げができる反応です。

メイラード反応とともにうま味も濃厚に

大豆は「畑の肉」と言われるように、うまみ成分の素となるタンパク質を多く含みます。小麦に含まれる糖が大豆のタンパク質と結びつき、高い温度ではないものの、常温で熟成されることで反応が進むのです。それによって色が濃くなるだけでなく、大豆のアミノ酸が分解することで、濃厚なうま味とコクが出るのです。

そのうま味は「特級」「上級」「標準」に分類できます。そのうち特級だけは「特選」「超特選」という表示を使うことができます。

「特選」とは、こいくち、たまり、さいしこみではうま味成分である窒素分、うすくち、しろでは無塩可溶性固形分(エキス分)が通常の特級よりも10%以上多いものに表示することができます。「超特選」は20%以上多いものに表示可能となっています。

注1=もろみ 塩水と麹を容器に入れて長時間醸すと、乳酸菌や酵母菌が大豆や小麦を熟成し、どろどろのみそのような状態になります。これが「もろみ」。微生物の分解や発酵によって「諸々の味わい」があることから「もろみ」と言われています。