色の濃さが変わる理由

しょうゆの原材料は「塩」「小麦」「大豆」「麹」。ここで一般的な作り方を紹介します。

1、原材処理=大豆を蒸し、小麦を炒っておく。
2、麹作り=種麹を原材料に混ぜて麹菌を増殖させてしょうゆ麹にする。
3、発酵・熟成=塩水と麹を容器に入れて、長時間発酵させる。
4、圧搾・火入れ=もろみ(注1)を布に入れて圧搾、ろか、火入れをして発酵を止める。

5つの種類の中で、このプロセスと違うのは「さいしこみ」。4の工程までは同じですが、こいくちを作った後に、それを塩水の代わりに仕込み水として、もう1サイクル、大豆と小麦と熟成させて発酵するのです。つまり半年から1年かけてこいくちを作り、仕込み直しをしてさらに1年ほど、合計2~3年もかけて仕込みます。このことでより濃厚でうま味が強く、黒い色のしょうゆができるのです。

しかし、手間がかかるので、大手メーカーよりも中小規模の蔵で作られています。ただし、時間がかかる分だけ、その蔵や蔵人の影響を受けて個性的なしょうゆが出来上がります。

しろは短時間、たまりは2~3年

主原料の大半が小麦のしろしょうゆは、短時間醸造。一番色が濃いたまりしょうゆは、主原料が大豆で、みそを作るときに浮かんでくるたまりそのもので、2~3年発酵させます。うすくちしょうゆはこいくちしょうゆに対し、熟成時間が3割ほど短いという特徴があります。

工場生産では、これらの化学反応を発展させ、温度を一定に保ち、酵素を操作して、醸造を促進させるなど工夫しています。対して、醸造を人工的に早めることなく、2年ほど長時間熟成させ、保存料や味付けなどの添加物を使っていないものを「天然醸造しょうゆ」と呼んでいます。スーパーなどで安く購入できるものの中には、発酵の年数が少なく色がつかないため、カラメル色素で色付けされているものもあります。気になる場合は、栄養成分や原材料を見て購入することをおすすめします。

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