マラソン大会も頻繁に行われるようになり、参加するランナーの数も以前のように戻ってきました。すると、最近よく耳にするのが、「走った後のビールが最高にうまいんだよね」「走った後は、アルコールで水分補給するから大丈夫」というもの。これらの言葉は、コロナ前から変わっていませんね。

残念ながら、お酒では水分補給はできません。喉がカラカラな状態でお酒を飲むと、喉が潤った気分にはなりますが、実は体は潤っていません。走って汗を流して脱水状態になっているところにアルコールを飲めば、さらに脱水状態が進んでしまうことになります。

飲酒すると脱水になりやすい理由

では、なぜ飲酒すると脱水になりやすいのでしょうか。

1、利尿作用があるため

アルコールには利尿作用があります。飲んだ水分は尿となって排出されますが、飲んだお酒以上の量が尿となって排出されます。それ以前に運動によって汗として水分を多く出しているので、脱水がさらにひどくなります。

2、アルコールを分解する際に水を必要とするため

アルコールは吸収、代謝される過程で、肝臓でアセトアルデヒド(二日酔い、悪酔いの原因)となります。そのアセトアルデヒドは酢酸に分解され、さらに二酸化炭素と水に分解されます。この分解過程で水が必要となります。

これらのことから、走った後の飲酒は非常に脱水になりやすいということになります。その上、食事も疎かになってしまうと素早く行いたいリカバリーもできず、疲労回復が遅れてしまいます。

マラソンや運動の後は、水やスポーツドリンクなどで水分補給をしましょう。水分補給をした後、アルコールを控えておいしい食事を摂りましょう。しっかりと食事をすることで、野菜やみそ汁、果物からも水分をとることができます。マラソンはゴールしたら終わりではなく「リカバリーまでがマラソン」として臨んでください。

もちろん、飲酒後の運動は1杯だけであっても非常に危険ですので、控えてくださいね。

今回は野菜のおかず「簡単トマトのゴマあえ」を紹介します。トマトからは水分もとれますし、汗で流れたカリウムも取れますね。

また、ゴマからも汗と一緒に流れやすいマグネシウムなどのミネラルが多く取れます。マラソン前後の食事にぴったりです。

管理栄養士・舘川美貴子