オリンピックや国体など大きな大会に関わらず、競技者が気をつけなければならないことに「ドーピング」があります。決して、一流のアスリートだけの問題ではありません。スポーツをするなら、ジュニアアスリートでも自分に関わる問題として、日頃から意識しておく必要があります。

ドーピングは、スポーツをする際に薬を使って競技力を高めることをいいます。ドーピングという単語の起源は、南アフリカ共和国の原住民カフィール族が地元の強い酒(Dop)を飲んで戦いに挑んだことからだと言われています。

近年では、薬によるドーピングだけでなく、自己血液を輸血することによって酸素を全身に運ぶ能力を高める「血液ドーピング」、筋肉疾患を治すための遺伝子治療を悪用して細胞・遺伝子・遺伝因子・遺伝子表現を調整する「遺伝子ドーピング」などもあり、いずれもスポーツにおいて禁止されています。

使用隠蔽や検査拒否も違反、制裁へ

また、その使用の隠蔽(いんぺい)、ドーピング検査の拒否も違反とされています。さらにコーチや監督などの関係者がドーピングを支援した場合にも罰せられることがあります。病気の治療のための医薬品、サプリメントなどの中にもスポーツにおいて禁止されている物質を含む場合があり、注意が必要となります。

規則違反をすると、アスリートやサポートスタッフは制裁を受けることになります。制裁の例としては、アスリートの競技会の成績が自動的に取り消さます。競技会の参加者、トレーニング、コーチとして指導に関わるなどのスポーツの活動が一定期間中できなくなります。チームで複数人違反者が出た場合は、チームに対して制裁が科される場合があります。意図的な違反や違反を繰り返す場合は、より厳しい制裁が科される場合もあります。

市販薬や健康食品に含まれている場合も

怖いのは「うっかりドーピング」です。競技力向上を目的にドーピングで使用する薬物は決して特別な薬ではなく、病気を治療するために使用される医薬品も多く含まれています。市販の風邪薬や健康食品、サプリメントなどにも含まれている場合があるのです。

これら禁止物質を含む医薬品などを、それとは知らずに病気を治療する目的で服用し、結果的にドーピング違反になってしまうことを「うっかりドーピング」といいます。残念なことに、これで違反になってしまう選手が毎年数名みられます。風邪をひいて薬を服用する「うっかり」が多いようです。

体調を崩し、薬を使用するときはスポーツドクターやスポーツファーマシストに確認したり、日本スポーツ協会が出している使用可能リストなどを利用したりして必ず確認しましょう。禁止物質の中には、慢性疾患や病気の治療に必要な薬もあるため、確認した上で治療目的の薬物使用の適用措置申請書(TUE)を提出しておくことが望ましいでしょう。

「JADA規程」を確認、最新情報をチェック

日本におけるアンチ・ドーピングに関するルールは、日本アンチ・ドーピング機構(JADA)によって策定された「JADA規程」によって定められています。これは、世界アンチ・ドーピング規程とほぼ同じものとなっています。

また、規定は毎年1回(1月1日)改定されていますので注意が必要です。日本アンチ・ドーピング機構では、アンチ・ドーピングのルール、規定、規則違反、禁止薬物を公開していますので必ず確認し、新しい知識を得ましょう。「この程度は大丈夫」「知らなかった」「うっかり」では済まされないことです。

今回は「稲荷ごはん」を紹介します。1センチほどに切り、ふっくらジューシーに甘く煮た油揚げをご飯と混ぜ合わせたもの。稲荷寿司よりも簡単に手軽に作れます。是非お試しください。

管理栄養士・舘川美貴子

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