「ジャガイモの芽には毒がある」とよく聞くと思います。ジャガイモは外敵から身を守るために天然毒素を含んでいますが、実は皮など芽以外の部分にも含まれています。

最も多く含まれているのは芽と芽の根元。そのほか皮(特に緑色になっている部分)、傷がついている部分、また家庭菜園などで作られた未熟で小さいジャガイモも毒を含んでいることがあります。

皮が緑色になったジャガイモ
皮が緑色になったジャガイモ

ソラニンやチャコニン、大量摂取で死亡も

ジャガイモの毒はソラニンやチャコニンといったアルカロイド。農林水産相のHPによると、ジャガイモの可食部分100g(通常サイズ約1個)あたり平均7.5mg(0.0075g)含まれており、そのうち3~8割が皮の周辺に存在します。紫外線(日光や蛍光灯)に当たって緑色になった部分は特に多く、10倍以上の毒が存在しているといわれています。

体重50kgの人がソラニンやチャコニンを50mg(0.05g)摂取すると、吐き気や下痢、おう吐、腹痛、頭痛、めまいなどの症状が出る可能性があります。食べてから20分~1時間ほどで症状が現れ、小さな子どもの場合、大人の10分の1の量で中毒になるといわれます。150~300mg(0.15g~0.3g)と大量摂取すると死亡する可能性もあるので、早急に病院に行き、診察を受けましょう。微量摂取の場合は、比較的短時間で体外へ排出されるといわれていますが、毎年、ジャガイモの毒による食中毒が起きているようです。

芽を完全に取り除き、皮もむく

このような話を聞くと、ジャガイモはとても怖く、食べてはいけないように思われるかもしれませんが、毒のある部分を除去すれば、安全に食べられます。ソラニンやチャコニンは加熱調理をしてもほとんど減らないため、正しい保存方法、下処理が大切です。

まずは、ジャガイモは根元を含めて芽を完全に取り除き(皮より内側の部分も含めて多めに除く)、皮をむきましょう。緑色になっている部分は、本来の黄色い果肉が見えるまで厚めにむきましょう。

ソラニンは、独特な苦みや辛い刺激を感じることあります。ジャガイモを食べた時に「辛い」「苦い」など、いつもと違う味がした時はすぐに食べるのをやめましょう。

ジャガイモを購入する際は、芽が出ているもの、皮に緑色の部分があるものは購入しないようにしましょう。保存場所は日光や蛍光灯などの光が当たらない、暗くて10℃ぐらいの涼しい場所に保管しましょう。冷蔵庫で保存する必要はありませんが、20℃以上になると発芽し、腐敗しやすくなります。また、傷をつけないようにしましょう。

今回は「ジャガイモのガレット」を紹介します。ジャガイモは皮をむいて千切りにした後、水にさらさないのがコツ。これが、でんぷんでジャガイモをくっつけるポイントとなります。

炭水化物を含むジャガイモは良いエネルギー源であり、加熱による損失が少ないビタミンCを多く含む優秀な食品です。安心して安全に食べられるよう、ちょっとした意識を持ちましょうね。

管理栄養士・舘川美貴子