皆さん、「乳糖不耐症」という病名を聞いたことはありますか? 

栄養相談をしていると、大人の方から「以前は牛乳を飲んでも何も問題なかったのが、大人になってからお腹の調子がおかしくなる。アレルギーなのか」「医師から乳糖不耐症の可能性がある。乳製品の摂取量を注意するように言われた。どうしたらいいか」などの相談を受けることがあります。乳糖不耐症について簡単に説明します。

分解酵素の働きが不十分、乳糖不耐症とは

乳糖とは、牛乳や乳製品に主に含まれる糖質で、ほんのりと甘味があります。乳糖不耐症とは、この乳糖を体内でグルコース(ブドウ糖)とガラクトースに分解するラクターゼという酵素の働きが不十分なため、上手に消化吸収できず、下痢、腹痛、おなかがゴロゴロするといった膨満感などの消化器症状が出る疾患です。摂取して、20分~2時間後に症状が現れます。

乳糖の摂取をやめると数時間~数日で症状は治まるといわれています。大人になってから症状が出る理由として、主に年齢が上がるにつれて、乳糖を分解する酵素(ラクターゼ)が減少していくためと考えられています。

タンパク質が原因のアレルギーとは別もの

また、食物アレルギーと似ているため不安になるかもしれませんが、それとは異なります。食物アレルギーはタンパク質が原因で免疫反応を起こすため、皮膚、呼吸器、粘膜、消化器など全身に症状が出ますが、乳糖不耐症は糖が原因で消化の働きが不良になるため、消化器に症状が出ます。症状が出る場所が異なると覚えておけば、わかりやすいでしょう。自分でもよくわからない場合や消化器以外に症状がある場合には、アレルギー科の先生などに相談しましょう。

症状に個人差大きい、体質に合わせて

ただ、乳糖不耐症の場合、牛乳や乳製品が摂れる量は個人差が大きくなります。例えば、Aさんは「牛乳はコップ1杯まで大丈夫。ヨーグルトもチーズも食べられる」であっても、Bさんは「牛乳はほとんど飲めない。チーズとヨーグルトは食べられる」と全く異なります。自分でどの程度なら症状が出ないのか、体調の良い時に確認しておきましょう。

今では乳糖を約8割カットした牛乳も出ています。チーズは、牛乳よりもタンパク質の含有割合が多く栄養価の高い食品です。乳糖不耐症だからと全ての乳製品を避けるのではなく、ご自身の体質に合わせて食べられる内容を確認しておきましょう。

今回紹介するのは「豆乳アレンジカレースープ」です。コロナ禍で自宅での食事が増え、以前よりもカレーを食べる機会が増えているかもしれません。中にはマンネリになり、飽きてきた方もいるのではないでしょうか。

豆乳を使ったアレンジカレーは具材や水分量を調整することで、スープや麺類のソースにも活用できます。牛乳を使っていないので乳糖不耐症の方も安心して食べられます。豆乳は鉄強化につながりますし、鉄の吸収を助けるビタミンCが豊富なパプリカを具に加えています。暑くて食欲が落ちがちな夏場にもおすすめのレシピです。

管理栄養士・乳井美和子、小高鏡子