中高生女子選手のサポートをしていると、成長期の体の変化に戸惑い、運動(スポーツ)と成長に必要なエネルギーを補わずに、無理なダイエットをしてしまう選手が見受けられます。

体が丸みを帯びるのは成長の一環

成長期になると通常、視床下部から卵胞刺激ホルモン、黄体刺激ホルモンが分泌され、それによって女性ホルモンが卵巣から放出されます。女性ホルモンによって体全体が丸みを帯び、皮下脂肪が増加し、筋肉量が増えづらくなりますが、これは成長の一環です。

しかし、体重・体組成の変化によって重心が変わり、骨盤が広くなってX脚になって今まで通りに運動することができない、記録がでないとなると焦って、「減量」を目標としてしまうケースがあるのです。

初経後は骨強度を増す重要な時期

女子選手にとってこの時期の体の変化は、将来の選手生命を考える上でもとても大切です。

成長期に入り脂肪が増え、骨が大きく伸長(成長)する時期の1年ほど後に初経(平均12歳)を迎えます。この時期(12~15歳)は大きな身長の伸びはなくなりますが、骨強度が増す、骨にとって非常に重要な時期なのです。

無月経になると疲労骨折が頻発

骨の成長を促すのは、女性ホルモンの活発な分泌。女性ホルモンが、成長ホルモンや成長促進因子に働きかけますが、一方で、子どもの骨を大人の固い骨に成熟させ、身長の伸びを止める(骨端線閉鎖)働きを持っています。女性ホルモンがうまく分泌されず、無月経になると骨量が少なくなり、16~17歳で疲労骨折が頻発。その後、骨折にもつながり、競技人生にも影響が出てしまいます。

無理なダイエットはせず、十分なエネルギーをとって、無月経にならないこと。中高生で月経が定期的にくることが、成長期の女子選手にとって重要です。

今回は「さつま汁」を紹介します。汁物でお肉と野菜を摂れるので、通常の汁ものよりも栄養価が高くなり、エネルギー補給に適しています。品数や量を意識してしまう女子選手には、栄養価とエネルギーの高い食材を使うことも、食事のポイントです。

管理栄養士・田澤梓