晩秋から初冬にかけて店頭に並ぶゆず。豊かな香りは和食のあしらいや香り付けにほんとうに重宝しますね。「ゆず味噌」にしたり、「ゆず茶」にしたり、はたまた和菓子の「ゆべし」など、皮まできちんと使う物も数多く存在しています。

 「冬至の日にゆず湯に入ると風邪をひかない」といった言い伝えもありますが、実際のところ、その栄養や効能は、あまり知られていないように思います。

 ということで、今回はゆずを徹底研究。その薬効成分を学びつつ、寒い冬に備える方法を紹介しましょう。

 ゆずの原産は中国で、日本に伝わったのは奈良時代。当時は食用ではなく、乾かした皮(陳皮)を薬用として使っていたそうです。気候風土に合い、育てやすい特性から日本全域に広がったとか。

 ちなみに、冬至の日に「ゆず湯」に入る習わしは、江戸時代に始まったといわれています。理由は諸説ありますが、始まった当初は、邪気をはらうためのみそぎだったようです。

ビタミンC、クエン酸、リモネン

 ゆずの栄養成分は、ビタミンCやクエン酸、リモネンなどです。それらの薬効をあげてみましょう。

ビタミンC
 冬の果物の中でも、特にゆずにはビタミンCが豊富に含まれています。一般的に果汁に多いと思われていますが、ゆずの場合、果皮、果肉に、果汁の4倍も含まれています。

 ビタミンCは、疲労回復、風邪予防に大きく貢献。鼻やのどの粘膜を強くし、ウイルスから身を守り、免疫力を高める働きがあります。風邪をひいてしまった時にも、ウイルスによって荒れてしまった細胞を修復し、早期回復に向かわせる力がありますので、風邪の対処薬としても欠かせない存在です。

クエン酸
 クエン酸は、非常に高い殺菌作用があります。のどの痛みや咳の特効薬。ゆず茶などで患部に直接届くよう摂取することで、素早くウイルスに働きかけ、体に入った病原菌を殺菌することができます。

リモネン
 リモネンは、レモンやみかんなどの皮に多く含まれる精油成分です。柑橘類のさわやかな甘酸っぱい香りは、リモネンに由来しています。のどの炎症と咳を緩和させる効果もあり、高い抗菌作用を持つはちみつを、ゆずやレモンなどの柑橘類と合わせてのど飴にするのもうなずけます。

 また、毛細血管を刺激する力があるので血行が良くなり、新陳代謝が活発になります。その結果、体がよく温まり、冷え防止に大きな力を発揮します。

 実はこのリモネン、皮膚に膜を作って肌の水分を逃がさないようにもしてくれます。先ほど、ゆず湯を「邪気を払うためのみそぎ」とお伝えしましたが、これこそが庶民の間で受け継がれた、本来のゆず湯の効能なのです。

 ゆずについて調べれば調べるほど、昔の人たちは身の周りから薬となるものを探すのが上手だったことに驚かされます。のどや肌がかさつくこれからの季節、お湯に浸み出たリモネンのパワーが、かさかさ防止の近道です。

 今回は、そんなゆずを丸ごとおいしくいただくために、家庭で気軽に作れる「ゆず茶の素」を紹介します。ジャム状に煮ないので、さわやかなおいしさが楽しめます。

 冷え込む12月、店先に黄色いゆずが並びはじめたら、是非作り置きして、風邪を寄せ付けない身体で冬を乗り切ってくださいね。

■フレッシュゆず茶
<材料 作りやすい分量>
ゆず 2個
砂糖 100g

<作り方>
(1)ゆずは表面をしっかり洗い、横半分に切る。果汁を絞って保存容器に入れる(種は除いておく)。

ゆず果汁を絞る

(2)皮は、へたを取ってさらに半分に切り、細切りにする。

細切りにしたゆずと、ゆず果汁に砂糖を加えたもの

(3)(1)に分量の砂糖を加えて軽く混ぜ、(2)を加えて全体が均一になるまで混ぜる。ふたをし、冷蔵庫で一晩置けば使用可能。

冷蔵庫で一晩置いたもの

<使用方法>
 カップに大さじ1程度のゆず茶を入れ、熱湯を150ml程度注ぎ、混ぜる。ゆず茶を飲む際に、ドリンクだけでなく柔らかくなった果肉、果皮も一緒に食べると効果的。

お湯を注いでゆず茶に

<保存期間>
・冷蔵庫 10日
・冷凍庫 3カ月…冷凍しても糖分が多いのでカチカチに固まりまらず、すぐに使用可能です。ゆずが手に入りやすい時期に大量に作って、冬中使えるように冷凍庫保存をおすすめします。