亜鉛を大量摂取、ビタミンDやCも

アメリカでは、「コロナ罹患後は落ちた免疫力を回復するためにサプリの摂取は有効」と言われ、医師らは特に「亜鉛の摂取」を勧めている。日本では、成人男性の1日の推奨摂取量が10mgとされているが、コロナ禍の現在、アメリカでは1日40mgの摂取を推奨。鈴木氏はその倍以上を摂っているという。加えて、普段よりも多めにビタミンD3 、ビタミンCを摂っている。

50歳を過ぎても体力の衰えを感じたことがなかったという鈴木氏
50歳を過ぎても体力の衰えを感じたことがなかったという鈴木氏

さらに鈴木氏は、自らの体験から抗生物質の摂取などについても言及した。

「コロナはウイルスの感染症なので抗生物質は効かないと思われがちで、つい2カ月前までは使用すべきではないと言われていたが、今は特定の抗生物質が効くことが世界的に分かってきた(注)。これは新しい情報だったので、最初は躊躇したが、色々調べて自分の判断で服用した。コロナを殺すことはできないが、ウイルスと一緒に体内に侵入する雑菌を攻撃して症状を緩和する効果は、ある程度得られたと個人的には感じている」。

アメリカでは昨年末からワクチン接種が始まり、ラスベガスでは今、医療従事者に続いて優先順位が高い70歳以上の高齢者への接種が行われている。当初は「注射針が太くて痛い」というクレームもあったが、現在は改良されて大分、細くなっているようだ。肝心の効果については、抗体はインフルエンザと同様、1年くらいもつことが期待されていたが、実際には3カ月程度だとも言われている。それでも鈴木氏は「接種する機会がきたら、後遺症が治って1カ月後くらいには打ちたいと思っている」と、二度とあの苦しみを味わいたくないと話す。

最新の正しい情報のアップデートが重要

日本人で初めて米女子アメフトの殿堂入りを果たし、笑顔を見せる鈴木弘子氏
日本人で初めて米女子アメフトの殿堂入りを果たし、笑顔を見せる鈴木弘子氏

今回、コロナに感染したことで感じたこととして、鈴木氏はこう続けた。

「普段から鍛えている自分たちでさえ、こんな症状になるということは、高齢者が感染したら大変なことになると改めて怖さを感じ、日々の予防の大切さを実感している。それと同時に、コロナはまだまだ未知の感染症で、情報が日々変わっているということだ。1カ月前はこうだと言われていたことが、今はまったく違っていたりする。周りで感染者が出た時、心配心から自分が過去にテレビやネットで見聞きしたことを伝えたい気持ちは理解できるが、古い情報や不正確な情報は患者を不安にさせるだけだと今回、身をもって体験した。WHO(世界保健機関)など信頼できる公的機関が発表する最新の情報を、常にアップデートするよう心掛けることも重要だ」。鈴木氏はブログで体験記をつづり、YouTubeでも積極的に情報を配信している。

注=初期にはコロナを悪化させる可能性が取りざたされて医療現場でも混乱が生じていたが、現在はWHOも使用を勧めている。

鈴木弘子(すずき・ひろこ) 1964年9月28日、東京生まれ。高校時代はシンクロナイズドスイミング(アーティスティックスイミング)の選手として活躍し、短大卒業後はスポーツインストラクターとして水泳、エアロビクス、ウエートトレーニング、栄養を指導。95年、東京に本拠地を億クラブチーム、レディコングでアメリカンフットボールを始める。2000年、アメリカプロリーグ(WPFL)のトライアウトに合格し、日本人初のプロ選手として渡米。19年シーズン終了後に引退するまで複数のチームでプレーし、16年からはパシフィック・ウォリアーズのオーナーも兼任。19年、米女子アメリカンフットボールの殿堂入りを果たした。https://www.suzukihiroko.com/https://www.youtube.com/channel/UCMhrm9dL7-8Nxjpd1KYDQLA

【ロサンゼルス通信員=千歳香奈子】