米国では女子のプロアメリカンフットボールリーグがあるのをご存じだろうか。51歳にしてなお、現役選手として活躍する日本人選手がいる。鈴木弘子。ポジションはセンター。今季からはロサンゼルスを本拠地とするパシフィック・ウォリアーズの共同オーナーにも就任。オーナー兼選手として多忙ながらも、現役を続けるための食事管理に余念がない。鈴木に食生活のこだわりを聞いた。

<鈴木弘子インタビュー(1)>

 元々体力に自信があった鈴木は、若いころの食生活は奔放だった。フットボールを始めたばかりの30代前半は前日にお酒を飲み、試合に出ていたという。

 栄養の重要性に気付いたのは40歳になってから。世界的に有名なボディビルダーで栄養面にも詳しいミロス・シャシブの影響を受け、食生活を見直した。その後は自分に必要な知識を、いろいろなコネクションを通じて学んでいる。

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できるだけ天然のものから摂取

 日本から米国に来るスポーツ選手を見ていると、水分を取らない選手が多すぎる。また、タンパク質の摂取量も極端に少ない。

 タンパク質は体を作るもの。筋肉だけでなく、皮膚も骨も、髪の毛も作っている大切な栄養素。だから、できるだけサプリメントでなく、天然のものから摂取するよう意識している。

 ミロスからは「何からとってもタンパク質なら同じ。好きなものから摂取しなさい」と教えられた。動物性や植物性、品目や部位など細かいことを考えて、食べる量が限られるより、とにかく量を取れと。

 例えば、体重が100キロの人に必要なタンパク質は100グラムで、スポーツ選手だとその2~3倍は必要となる。タンパク質100グラムを取ろうとすると、500グラムの肉や魚を食べる必要があって、1回に取るのは難しいので、何度か分けて取ることで1日の摂取量になるようにすればいい。

 バランス良く、いろいろな品目を食べる。しかも今流行のオーガニック食品は体に良いと思われがちだが、そういう食事がスポーツのパフォーマンスを上げる訳ではない。健康食、体に良いもの=パフォーマンスアップという考えは違っている。必要な栄養素を必要な分摂取することが大切。とにかくタンパク質だけは欠かさないよう、常に心がけている。

プレーする鈴木

スポーツ後にタンパク質摂取

 何から取ってもいいとはいうが、タイミングは重要で、私はスポーツの後に取るようにしている。

 筋肉は、トレーニングで作られると思われがちだけど、ウエートトレーニングなどは重たい物を持つので、実際は筋肉を破壊している。壊れた繊維を修復するには、タンパク質が必要。ここで取ることで筋肉が大きくなり、ケガをしにくい体になる。ケガをしやすい人は栄養が足りていない人。そう考えると、タンパク質の重要性が分かるでしょう。【千歳香奈子】

鈴木弘子(すずき・ひろこ)

1964年9月28日、東京・浅草生まれ。高校時代はシンクロナイズドスイミングの選手として活躍。短大卒業後は、スポーツインストラクターとして水泳、エアロビクス、ウエートトレーニング、栄養を指導。95年、東京に本拠地を置くクラブチーム、レディコングでアメリカンフットボールを始める。2000年、アメリカプロリーグ(WPFL)のトライアウトに合格し、日本人初のプロ選手として渡米。フロリダ州デイトナビーチ・バラクーダスと契約し、ディビジョン優勝を果たす。初年度からオールスター戦に先発選手として選出。翌01年、アリゾナ・カリエンテに移籍。その後も複数のチームを渡り歩き、12年にサンディエゴ・サージで初優勝。13年、世界選手権の米国代表選手に選出される。15年、パシフィック・ウォリアーズに移籍。今年からオーナー兼選手。173センチ、68キロ。http://www.suzukihiroko.com