グラウンド外の仕事をこなす主務の思い

大学の部活動には、グラウンド外の仕事、マネジャー業を一手に担う「主務」という役職がある。大学日本一チームの主務、亀井亮介さん(4年)はコロナ禍において「初めてのことの連続で、大変でした」と振り返った。

早大ラグビー部の歴史を記すボードの前で、さわやかな笑顔を見せる主務の亀井さん
早大ラグビー部の歴史を記すボードの前で、さわやかな笑顔を見せる主務の亀井さん

例年なら前年までのやり方を踏襲しつつ、今年のやり方を考えていくのがパターンだが、2~3月に準備していた春季大会が中止。その代わりに新型コロナ対応で、大学や協会との折衝が始まり、それらの通達をどう選手に伝えるかで苦心した。

学内の施設が使えなくなった時は、相良南海夫監督をはじめスタッフと協力して、駐車場の軒下にウエート器具を設置。選手が少しでも気持ち良く練習できる環境を作るため、管理体制を調整し、整えていった。

部室やウエートルームも密にならないよう利用時間を分けるのも主務の仕事だ。全部員から、リアルタイムで受けなければならないオンライン授業の時間帯を聞き出し、自宅や寮までの移動時間も計算してスケジュールを組んでいった。同時に、オンラインでの就職活動もこなした。「1人部屋ではないので、面接の時などは会議室を借りて対応していました」。

食堂の簡易ビニールシートも手作り

食堂のテーブルに置かれている簡易的なビニールの仕切りも、亀井さんの手作りだ。「ホームセンターに素材を買いに行って作ったんですけど、倒れちゃうんですよね。アクリル板のものを早く設置したいんですけど」と、苦笑いを浮かべた。

今季は公式戦の観客席に座るベンチ外メンバーの名簿作成など、細かな作業が加わる。仲の良い明大、慶大、帝京大などの主務とは連絡を取り、シーズンを無事成功させようと励まし合っている。

「先行き不透明な時期から考えると、みんな随分と明るくなった。ここまで来たんだから、あとはやるしかない。“荒ぶる”をとるため、グラウンドのことは『頼んだぞ』という気持ちです」。戦っているのはプレーする選手だけでない。亀井さんの穏やかな口ぶりにも、連覇にかける熱い気持ちがほとばしっていた。

【アスレシピ編集部・飯田みさ代】