日本一で証明、食事の大切さ

1日2回の体重測定、朝晩の検温、体調など、選手は指定されたアプリに入力し、チームで一元管理している。改革当初は体重測定を面倒くさがり、食事の大切さを意識させるのが大変な選手もいたが、今はそんな選手はいないという。

基本的に高タンパク質で低脂質。主食、主菜2種類、副菜…と栄養バランスの良い献立だ。「ああいう食事をとっていれば、こういう体になると実感しただろうし、何よりも日本一になったことが大きいですね」。食堂で選手の姿を見続けてきた島さんは、「勝ったことで取り組んできたことが証明され、さらに選手の食意識が高まった」と話す。

早大ラグビー部の管理栄養士・島寿子さん
早大ラグビー部の管理栄養士・島寿子さん

体脂肪を増やさずに体を大きくするには

何をどれだけ食べればいいのか、すでにトップ選手なら自分で理解、把握できている。丸尾主将のご飯の量は3食とも300g、夕食にはそばをプラスするのがルーティンだ。

「体を大きくする」という目的を効率よく達成するため、選手たちは一度にドカ食いするのではなく、補食を重視するようになってきた。練習前後に自分たちで炊いたご飯をおにぎりにしたり、バナナ、餅やパンを買ってきて食べたりしているという。

「早稲田は展開ラグビーなので、体重を増やすというより質が重要です。体脂肪を増やさずに体を大きくするにはどう食べるか、上級生は理解しているので、こちらであれこれ言う必要はないんです」。早大が王者奪回した理由が、食事面からも見えた。

とは言っても、選手約100人の大所帯。そのレベルに達していない選手にはどうアプローチするのか。島さんはアプリに入力されたデータを毎日チェックし、毎週フィードバック。夏は、猛暑による疲労やエアコンによる冷風の直撃などで胃腸を壊し、軽く下痢をしていた選手が何人かいたという。体重が減っている選手、目的通りにいっていない選手には「今週はどうしていく?」と島さんは個人的に声をかける。「どうしなさい」ではなく、原因を一緒に見つけ、どうするのか考えさせる。ここでも早稲田流の「PDCA」が生きている。

次のページグラウンド外の仕事を一手に担う主務の思い