「門から出ない」「外部との交流禁止」

自粛期間中、「寮の門から出ない」「外部との交流禁止」が寮の規則になった。これまで朝、夕のみだった寮の食事は月曜日以外、1日3食提供された。必要な日用品はネット通販で購入。寮食がない日は弁当を買うか、食材を購入してきてホットプレートで焼き、丸尾主将は「朝からステーキを食べていました」と振り返る。この時期、意識的に増量した丸尾は183センチで、100キロから102キロとなり、体脂肪率は15%。「最終的には101キロ、14%に絞って臨みたい」と体作りをイメージ通りに進めてきた。

学校の施設であるグラウンドやウエートルームが使えなくなった時期は、オンライン授業の合間に、駐車場にウエート器具を出して自主的に筋トレを行った。「通常だったら時間がとれなかった個人のフィジカル強化、スキル向上に充てられた」と、一時も無駄にしなかったと口にした。

コロナ禍でもチームをまとめてきた早大の丸尾主将はガッツポーズで大学選手権連覇を誓う
コロナ禍でもチームをまとめてきた早大の丸尾主将はガッツポーズで大学選手権連覇を誓う

厳しい規則に不満も出たが…

しかし、チーム練習ができるようになった7月に入り、世の中の自粛ムードが緩和されていくに従って、難題も生じるようになった。寮生から外出禁止の規則が「厳しすぎるんじゃないか」と不満が出るようになったのだ。

早大ラグビー部にはもう1つ、井荻駅近くにも寮があり、自宅から通う選手もいる。「門」から出入りする選手も実際いるため、意識の統一が難しい。また、今ではSNSなどで情報がたやすく入るため、友人が遊んでいる投稿は目にするし、彼女にも会えない。オフの日ぐらいは外出してリフレッシュしたいという20歳前後の若者が持つ当然の欲求が噴出した。

それでも、丸尾主将の覚悟は揺るがなかった。「1人でも感染者が出たら1カ月ぐらい練習ができなくなってしまう。ゴールは大学日本一。だから、どうしても外出して欲しくなかった」。不満を口にした選手とは1対1で話をし、理解してもらった。結果として行動範囲は、西武新宿線の井荻駅から馴染みの定食屋のある西武柳沢駅まで広げた。後期もオンライン授業のため、上井草から上り1駅、下り4駅までの範囲。感染リスクを最小限にするために、不要不急の行動自粛はシーズン終了まで続いていく。

次のページ少人数ミーティングでのPDCAで課題を早く解決