新型コロナウイルス感染拡大を受けて自粛生活が続く中「メタボ」への不安を取り除くためにはどうしたらいいのか…。バドミトン、空手、ハンドボール女子日本代表など一流アスリートを食事面でサポートする「味の素ビクトリープロジェクト」の上野祐輝ディレクター(D=35)に、自宅での運動や軽いジョギングを行う人に向け、実際にアスリートに提示している食事内容やエネルギー補給について聞いた。

女子アスリートらに食事管理について説明を行う上野祐輝ディレクター(味の素VP提供)

ガソリンは空っぽ厳禁

上野D 運動中に空腹を作らないように、という考え方があります。エネルギーが完全に枯渇した状態で運動するのは、車でいうガソリンがない状態。車なら動かないですけど、人間は筋肉を壊してエネルギーに変えている。そうすると健康のために運動しているのに、実は体にとっては良くないことになってしまう。

とはいえ、あくまで基本は3食しっかり取ることが前提。運動中に空腹を感じなければ、無理をして補食を取る必要はない。

上野D 運動してる時に、おなか減ったなという感覚がある方は、運動前に少しエネルギーを入れて、そういう感覚をなくすという工夫は良いことです。

では、実際にどんなものを取り入れるといいのか。

上野D エネルギーが摂れて消化の良いものをおススメします。普通の食事の場合、吸収されるまでに3、4時間かかると言われています。脂質が高いものだと消化速度が遅れてくるので、あんパンとカレーパンでも全然違う。肉でも、豚の場合は、バラ肉とモモ肉では脂質量が違うので、なるべく脂質量の少ない部位を選ぶこと。調理もなるべく油を使わないようにしたり。基本的には、糖質と言われるものがいい。運動開始のタイミングでおなかの中に残っていると動けないので、エネルギーゼリーなど消化の良いものが良いです。すぐ吸収されて残らないので、実際にゼリーを飲んで試合に臨む選手もいます。

固形物がいいという人にはおにぎりを勧める。

上野D 選手に提供しているのは、パワーボールという、だし入りの小分けおにぎり。だしのもとであるアミノ酸(グルタミン酸)が入っていて、胃を活性化するので、吸収しやすく、小分けにしていて食べやすい。緊張している中で無理なくエネルギーを補給できます。

ただし、エネルギーの取りすぎは肥満につながる。

上野D 自粛生活で活動量は減っているので、今まで通り取ってしまうと、体重が増えてしまう。

1日3食で体内リズム調整

実際にアスリートたちも体調の変化を感じ、試合時間から逆算して食事管理をするようになったという。最後に食事の取り方の注意点を語ってもらった。

上野D 欠食をしないこと。特に朝食。体が温まるので、体内のリズムが整う。ベースは3食から栄養を取る。欠食をすると、どこかで「どか食い」してしまう。一度に多く摂ると体脂肪増加のリスクが高まります。つまり、一度に消化しきれなかったものは脂肪として蓄積されます。特に夜は翌朝の食欲に影響を与えやすいため、食べすぎには注意が必要です。

緊急事態宣言が解除されたが、以前の生活にすぐに戻る可能性は低い。計画性のある食事で体調管理を行うことが大事になってくる。【松熊洋介】

◆上野祐輝(うえの・ゆうき)1985年(昭60)4月22日、東京都生まれ。08年味の素(株)に入社。16年より現職。主にバドミトンと空手を担当。バドミントン女子奥原と密接なコミュニケーションを取り、個別サポートを実施。スポーツを楽しむ人すべてに「栄養の大切さ」を伝えていきたいと考える。

(2020年6月2日、ニッカンスポーツ・コム掲載)