新型コロナウイルス感染拡大を受けて自粛生活が続く中、運動不足になり、体調面に不安を抱く人も多いだろう。バドミトン、空手、ハンドボール女子日本代表など一流アスリートを食事面でサポートする「味の素ビクトリープロジェクト(VP)」の上野祐輝ディレクター(D=35)に、一流選手が実践している食事管理の方法を聞いた。

バドミントン女子の奥原希望(中央)らと食事管理について話をする上野祐輝ディレクター(味の素VP提供)

上野Dは「食事の基本構造はアスリートも一般の方も同じで、特別なものを食べているわけではない」と話す。栄養バランスを整えるための3つのテクニックを挙げてもらった。

5つの輪作戦
上野D 3つの栄養素「作る」、「動かす」、「整える」という機能を上手に取り入れるもので、主食(ごはん、麺、パンなど)、メインのおかずとなる主菜(主に肉、魚などのタンパク源)、副菜(野菜、小鉢など)、汁物、牛乳・乳製品の5つをそろえると、栄養素を整えやすくなります。5つの要素がそろっているかを考えると、栄養バランスという言葉を難しく捉えずに、簡単に楽しく向き合えることができます。

まごにわやさしい
上野D 実際にどんな食材を使うといいのか。それぞれの頭文字を取ったもので、豆、ゴマ、肉、ワカメ(海藻)、野菜、魚、しいたけ(きのこ類)、芋。例えばタンパク質であれば、肉だけ食べるのではなくて、豆腐とか納豆、魚、甲殻類や貝類、いろんなものから栄養素を取りましょうという目安としての食材です。

汁物作戦
上野D 食材をより簡単に取るテクニック。アスリートには、汁物は万能と伝えています。いくらでも具材を変えられるので、1つの鍋でいろいろな栄養素を好きに入れられて非常に取りやすいです。胃や腸も筋肉なので、温かい鍋や汁物を取ることによってウオーミングアップされ、働きやすい状態になります。

上野Dは17年に選手と勉強会を開き、「勝ち飯」1人鍋の調理実習を行った。その後、各競技の世界大会などに帯同して、選手がコンディションを維持して大会を終えられるようにサポートしている。現に1年の多くを海外で転戦するバドミントンの選手たちは、今ではスーパーで食材を買い、自分たちで作るようになった。上野Dは「2年、3年たって主体的に行動するようになり、意識も高くなったんだなと」と手応えを口にする。

バドミントン女子の奥原希望は、周りに声をかけたり、自宅でも1人鍋を実践するなど積極的に取り組んでいる。男子の嘉村は日頃の食事に対する意識が高まるきっかけとなり、自宅待機期間中に自身の手料理をSNSにアップするなど、選手たちにも食事の大切さが浸透してきた。

3つのテクニックは一般の方も同じ考え方で実践できるという上野D。栄養指導のプロがお勧めする食事管理で運動不足を解消しよう。【松熊洋介】

◆上野祐輝(うえの・ゆうき)1985年(昭60)4月22日、東京都生まれ。08年味の素(株)に入社。16年より現職。主にバドミトンと空手を担当。バドミントン女子奥原と密接なコミュニケーションを取り、個別サポートを実施。スポーツを楽しむ人すべてに「栄養の大切さ」を伝えていきたいと考える。

(2020年6月2日、ニッカンスポーツ・コム掲載)