人の胃袋には2つのタイプ

山口さんによると、人の胃袋には大きく分けて2つのタイプがあるという。

<胃袋のタイプ>
(1)フードファイタータイプ(プレッシャーによって食欲が沸く)
(2)神経質タイプ(プレッシャーによって食欲が落ちる)

(1)はストレスによって食欲が旺盛になるタイプだが、山口さんは(2)の不安になると食欲が沸かないタイプ。(2)の人に「もっといっぱい食べなさい」という声がけはタブーで逆効果。食べる意欲を沸かせるためには「無理して食べなくてもいいからね」と安心感を与えることが大切なのだという。

画一的な行きすぎた食育に異論

山口さんは「色んなタイプがいるのに画一的、かつ強制的な食育は理に反している」と、家庭や教育現場でのノルマを与える指導に異を唱え、個人に寄り添ったサポートが大切だと力を込める。体の大きさや体組成、目的によって食べ方に個人差があるのと同様、性格やメンタルの状況によっても声がけやサポートは変える必要があるようだ。

自らの体験を元に、会食恐怖症で悩む子どもや保護者にアドバイスを送る山口健太さん
自らの体験を元に、会食恐怖症で悩む子どもや保護者にアドバイスを送る山口健太さん

そもそも、「子どもの頃から食事に楽しい思い出が少なかったかもしれない」と山口さんは口にした。共働きの両親はよくケンカをしていて、食卓が温かい空間ではなかったからだ。「時々、ヒステリーで怒鳴り散らしながら食事を作る父から『うまいか、うまいか』と聞かれたり『もっと食え』と言われたりすると、脅迫されている気がして味がしなかった」。

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