男女や年齢にかかわらず、貧血に悩んでいるアスリートは少なくない。特に足裏に衝撃のある競技は自分で赤血球を壊してしまうし、体重コントロールが必要な競技の選手は鉄が不足しやすく、身長が伸び、骨格筋が大きくなる成長期の選手は総赤血球数が足りなくなりやすい。

パフォーマンスアップのためには貧血改善が必須となるが、それにブラジル原産のヤシ科の植物「アサイー」が役立つかもしれない。

フルッタフルッタと千葉大の共同研究

アマゾンフルーツの輸入加工販売を手掛けるフルッタフルッタはこのほど、駐日ブラジル大使館でアサイーの機能性研究発表会を行い、千葉大との共同研究で明らかになったアサイーの「造血機能」を発表した。

アサイーの機能性研究発表会に登壇した(左から)石川三知氏、横溝直輝選手、岩出雅之監督、清水孝彦氏、長澤誠社長
アサイーの機能性研究発表会に登壇した(左から)石川三知氏、横溝直輝選手、岩出雅之監督、清水孝彦氏、長澤誠社長

ポリフェノールが豊富なことから抗酸化力が注目され、2013年にスーパーフードとして大ブームになったアサイー。当時から、貧血改善に好影響があることは着目されていたが、そのメカニズムは分かっていなかった。

造血ホルモンの分泌促し、赤血球数増加

貧血改善に効果のある栄養素といえば、「鉄」が思い浮かぶが、アサイーに含まれるのは吸収率のよくない非ヘム鉄で、実は量もそれほど多くない。そこで今回、マウス実験で検証したところ、アサイーを摂取すると腎臓組織が低酸素状態となり、造血ホルモンのエリスロポエチン(EPO)の分泌が促され、赤血球数が増加することが明らかになった。

研究を発表した国立長寿医療研究センターの清水孝彦氏は「アサイーが赤血球を作る作用を促すことが分かった。しかも即効性がある」と驚くべき結果だったと説明した。「まだマウス実験の段階だが、ヒトの造血ホルモンが分泌する仕組みはマウスと共通するので、ヒトにも当てはまると思う」と我々人間にとっても、造血効果や貧血改善が期待される食材だと示した。

研究当時、千葉大大学院医学研究所准教授で、現在は国立長寿医療研究センターの老化ストレス応答研究プロジェクトリーダーを務める清水孝彦氏
研究当時、千葉大大学院医学研究所准教授で、現在は国立長寿医療研究センターの老化ストレス応答研究プロジェクトリーダーを務める清水孝彦氏

今後は、何の成分が影響しているのかなど活性成分の同定、ヒトに対しての適正量、アマゾンの食材が日本人にも合うのかなど安全性を検証していくという。

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