「勝つために」必死な女性アスリート
小清水教授も栄養相談を行っている東京大学医学部附属病院の女性アスリート外来で、2017年に受診した選手の62%が月経異常。そのうちの92%がLow EAによる無月経で、さらに12%が摂食障害と診断された。
女性アスリートは、一般女性よりも摂食障害になる確率が高いとされるが、それは「勝つためにどうするか」を必死に考えるから。体重が軽い方が有利とされるマラソン(長距離)、見た目の美しさも審査基準となる体操、新体操などの審美系スポーツをはじめとする選手、ケガをして体重を増やしてはいけない状況に置かれた選手らは勝つために、食行動の異常に走ることが多い。
信頼するコーチから「○キロにしなさい」と言われたら、それが科学的根拠のあるなしに関わらず、従ってしまうこともある。特に、強い意志を持つ完璧主義の選手は、極端な食行動を起こしやすいと言われる。
指導者、保護者も理解を深めて
もちろん、小清水教授らは栄養的側面から、予防と対策に努めているが、実際、EAが足りない選手に対し、エネルギー摂取量、糖質量や各栄養素をどの程度増やすかなどは、医師と公認スポーツ栄養士らが連携し、個々の対応が必要となってくる。食事改善がうまくいき、筋肉量が増えたことでベストタイムを更新できた選手もいる。
若い有能なアスリートが真面目に努力することで、自分の体を痛めつけてしまうことがないように、選手自身は正しい知識を得、指導者も最新の情報をアップデートしていかなければならない。保護者も含めて理解を深めることが大切だ。
【アスレシピ編集部・飯田みさ代】