独学で編み出したワンプレート料理

札幌時代は当初、寮もなく自宅で料理し、選手が訪れるスタイルだった。それまで食事を選手の自由に任せていた時は、繁華街に出かけて起こるトラブルもあったという。「体を休めなければいけない時間に生活が乱れますから」。クラブ側も食の大切さを理解し、寮を作った。

村野さんの料理学はすべて独学。「ひと目見て『うまそう』と言ってくれたらうれしい。すべて食べきって『おいしかった』と言ってくれることに幸せを感じる」。偏らず、食べきるためにどうするか。編み出したのがワンプレートだ。

1つの皿にバランスよく、そして彩りを重視する。「カラフルな方が楽しいし、食べたい気持ちになる。私は5色を基本にしています」。赤=タンパク質、黄=炭水化物、緑=ビタミン、白=カルシウム、黒=鉄分。彩りの豊かさは、栄養のバランスにつながる。

また、ワンプレートのメリットは食べ残しのチェックもある。何を残したかは一目瞭然。その場合は、選手に聞く。ある場合、「自分は太りやすいから」と返ってきた。その選手には例えば、とりのもも肉を胸肉に変える。そんな細やかな配慮が、若い選手の体を育てる。

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