<アスリートの摂食障害(7)>

 成長ホルモンのように、「ホルモン」という言葉を聞いたことがあるだろう。体内には100種類以上のホルモンが見つかっており、それぞれ体の調子を整える大切な働きを持っている。

 ホルモンが血流の中に分泌されることを「内分泌」と呼び、ホルモンを作る内分泌臓器は、視床下部、下垂体、甲状腺、膵臓(すいぞう)、副腎、卵巣、精巣などがある。ホルモンは50メートルプールにスプーン1杯の量という非常に少ない量で効果がある。

 10代の成長期は、最も成長ホルモンが分泌される時期。逆に言うと、この時期に不足すると、背が伸びない。内分泌内科医で、政策研究大学院大保健管理センターの鈴木眞理教授(一般社団法人日本摂食障害学会理事)は「思春期に食事をしっかりとることが、とても重要です」と10代しかできないことの重要性を説明した。

 成長ホルモンを増やすには食事に加え、運動、睡眠が大切。栄養素としては、アミノ酸(アルギニン)に効果があるとされ、大豆製品、マグロ、豚肉、牛肉、鶏肉、エビ、ナッツ類に多く含まれている。

 しかし、最近の子どもは塾に習い事の掛け持ちなどで、幼少時から忙しく、食事や睡眠が十分でないケースがある。また、バレエや新体操など審美系スポーツに取り組み、見た目を気にして食事を制限し、発育状態が悪くなる場合もある。急いで食事改善をすれば身長は伸びるようになるが、機を逸すれば、栄養不足で成長が止まってしまう。

体脂肪増加は必要だから

 体脂肪量から男女差を見てみよう。女子は思春期を迎える10歳頃から体脂肪が増え始める。男子で15~20%、女子で20~25%が正常値だが、急激な体の変化に戸惑う女子は少なくない。

 少女から大人の女性に体が変わる頃、体脂肪が増えるのは、体、特に性機能を成熟させるために必要だからだが、熱心に競技に取り組む10代アスリートはタイムの伸びが悪くなったり、成績がふるわなかったりすると、体の変化のせいにして、無茶な自己流の減量に走り始める傾向がある。

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