バーベルを上げる法大雨宮

 1951年創部の法政大学重量挙部は、ロンドン五輪銀メダリストの三宅宏実選手をはじめ、これまで多くのオリンピック選手を輩出してきた。全日本大学対抗ウエイトリフティング選手権大会では、最多18度の優勝を誇る名門だ。

 小平紀生総監督、平良朝順監督の「強くなるために栄養トレーニングは必要不可欠」という強い思いから、17年前から「OfficeLAC-U」という栄養サポート会社から食事のアドバイスを受けている。

法大重量挙部の食生活を指導する大島夕佳さん

 現在は月に1回程度、栄養士から食生活を指導されている。練習後の夕食は練習所付近の弁当店、洋食店でとっているが、そのメニューも栄養士の監修によるものだ。担当の栄養士、大島夕佳さんにある日の献立のポイントを聞いてみた。

食事のポイント

大島さんが作った法大重量挙部の献立
◇栄養価(1食分)
エネルギー=1267kcal、タンパク質=65g、脂質=33.5g、炭水化物=162.1g、カルシウム=235mg、マグネシウム=163mg、鉄=6.3mg、亜鉛=6.7g、ビタミンA=593.7μg、ビタミンD=1.8μg、ビタミンE=6.5mg、ビタミンB1=0.5mg、ビタミンB2=0.9mg、ナイアシン=29.1mg、ビタミンB6=1.8mg、ビタミンB12=2.4μg、葉酸=186.8μg、ビタミンC=92.3mg、食物繊維=9.3g

◎ガパオライス
 重量挙げは、力だけでバーベルを持ち上げているように思われがちですが、自分のイメージ通りに身体を動かす研ぎ澄まされた感覚も重要な競技です。寮での食事だからこそ、普段口にすることが少ない食材を使い、味覚や嗅覚から脳を刺激することも意識します。

 今回はタイの定番料理ガパオライスにしました。筋肉を大きくするために、タンパク質の量を確保し、さまざま種類から摂る工夫をします。このレシピでは肉・大豆・卵から摂取できます。

◎切干大根とツナのゆずポン酢和え
 カルシウムやマグネシウムなどのミネラル類がポイント。これらは、骨の材料になるだけでなく、神経伝達をスムーズに行う上では欠かせない栄養素です。1日に長時間練習をする彼らにとって、これらの消耗が非常に多くなるため、常日頃から摂取することを意識します。

◎カボチャと牛肉のサラダ
 炭水化物がポイントのサラダ。練習日は特に、主食だけでなく、おかずからも炭水化物を摂取します。カボチャには炭水化物が豊富です。ブロッコリーには、エネルギー源を使う際の補酵素として働くビタミンB群が含まれ、エネルギー源の利用効率を高めます。

 また、牛肉に豊富な鉄分は、炭水化物とともにスタミナ維持に不可欠な栄養素。筋肉量が多いウエイトリフターにとっては、不足しがちな栄養素ですので、日頃から意識して摂取をします。

◎桜エビの中華スープ
 カルシウムがポイントのスープ。桜エビは、スープに利用することで柔らかくなり、消化が良くなります。桜エビだけでなく、チンゲン菜からもカルシウムが摂取できます。

 選手には、食事は汁物から摂るよう伝えています。練習で疲れた身体をホッとさせることと、「これから食べ物が入ってきますよ」と胃腸にサインを送ることで、食事をする準備が整い、より食べ物と身体が調和すると考えるからです。

◎グレープフルーツ
 ビタミンCとクエン酸がポイント。トレーニングをすることで、筋肉に傷がつき炎症が起こります。その炎症を抑える栄養素がビタミンC。グレープフルーツに含まれるビタミンCとクエン酸で、疲労回復を促し、ケガを予防します。

牛丼店ではサラダとみそ汁も

 大島さんのレクチャーは、選手たちに大きな影響を与えている。

 インターハイ94キロ級準優勝の雨宮玄剛(げんご=経営学部2年)は高校時代、「肉や魚など1つの食材をたくさん摂ればいいのかな」と思っていたという。しかし、徐々に栄養に関する知識が付き、この食材を摂ればどんな栄養素が摂れるかということを理解し始めたことにより、バランスを重視した食事を摂るようになった。

 オフの食事に制限はないため、自炊や外食など自由に食事をすることができる。しかしそこでも、選手たちは自然と栄養バランスを考えている。雨宮は牛丼店に行ったとしても「牛丼だけでなく、サラダやみそ汁を付けるようにしている」と言うように、意識改革がされているのだ。

 ここ3年連続でインカレ準優勝と苦渋を味わってきたが、4年ぶりの王座奪還へ、食の支えが選手を後押しする。【スポーツ法政新聞会】