赤くなった完熟トマトにはビタミン、ミネラルが豊富に含まれています。「トマトが赤くなると医者が青くなる」という言葉があるように、体調管理に役立っていたことから欧米でそんな言い伝えができたようです。

春から梅雨前、秋がおいしい

 夏野菜のイメージが強いトマトですが、実は高温多湿を嫌う植物。また水分が多いと実の味わいが薄まってしまうため、春から梅雨前と、夏が過ぎた秋がおいしく食べられる季節なんだそうです。

 とはいえ、トマトのもつミネラル分は蒸し暑い季節にこそ取り入れたいもの。そこで活躍するのが、トマト加工品。中でも食塩や調味料を添加していないホールトマト缶は、家庭で役立つ食材の1つです。

リコピン、うま味は増加

 ホールトマト缶は、水煮したトマトをトマトジュース等に漬け込んだもの。加熱することから栄養素が壊れるのではないか? と思われますが、ビタミンC、B群の一部など、熱に弱いビタミンは損なわれるものの、それ以外のビタミンはあまり影響がないようです。逆に、トマトの健康成分としてよく聞くリコピンは、加熱によって増加。また、うま味成分のグルタミン酸も加熱で強くなるので、うま味が増して簡単な調理でもよりおいしくなります。

うま味凝縮であっさりと食べられる「野菜のラグーパスタ」

 今回は「野菜のラグーパスタ」を紹介します。じっくり炒めた香味野菜と旬のズッキーニをホールトマト缶で煮込み、ソースにはうま味が凝縮されています。

 本来、ラグーはひき肉を炒めてじっくり煮込んだものを指しますが、今回はたくさんの野菜を刻み、肉を入れずに煮込みます。動物性脂肪が入らないのであっさりとしており、夏場にぴったり。トマトの栄養成分もしっかり摂取できます。

料理家・山内千夏