レストランでいただくメインの肉や魚の料理は、お皿にさまざまな野菜の付け合わせがのり、色鮮やかで、きれいですね。しかし、イタリアで気軽に行けるような食事処では、付け合わせはメインとは別に注文しなければなりません(それを知らずにメイン料理だけを注文すると、あまりにそっけない焼いた肉だけ、揚げた魚だけがでてきてビックリすることがあります)。

 メニューには前菜、パスタ、メインに加えて「付け合わせ」という項目が存在するのがイタリア。ただし、ここに載っているのは大抵ジャガイモ(ゆでるか焼くか揚げるか)、青菜のソテー、生野菜で、あとは季節の野菜を調理したものが加わる程度です。

 家庭でも同じく、焼いた肉は肉だけ、付け合わせはまた別の器にど~んと大盛りで登場し、各自が食べたい分だけ取り分けるスタイルです。

 そんな存在の付け合わせではありますが、あともうちょっと食べたい、栄養が足りてない、というときのサブアイテムとしては重要です。今回はイタリアの家庭で冬によく登場する「グラタン風ジャガイモのオーブン焼き」を紹介します。

ホワイトソースを使わない「グラタン風ジャガイモのオーブン焼き」
ホワイトソースを使わない「グラタン風ジャガイモのオーブン焼き」

 グラタンというと「ホワイトソースを作るのが大変」「カロリーが高い」と思われがちですが、ホワイトソースなしでもグラタン風に仕上げることができます。

 ポイントは牛乳とチーズを使うこと。

 まず、スライスしたジャガイモをそのまま耐熱皿に並べ、牛乳を注いで高温のオーブンで焼いていきます。その際に、イタリアでは塩漬けのイワシを加えることがありますが、ここはオイルサーディン(缶詰のイワシ油漬け)で代用しましょう。

オイルサーディンを活用

 オイルサーディンは、イワシの栄養を丸ごととれ、特にカルシウムやビタミンB群の補給に大活躍します。牛乳で煮込むようにしながら焼いていくので、ジャガイモがほっくりとグラタン風に仕上がります。

 焼く際にパルミジャーノチーズをたっぷりかけることもグラタン風になるポイント。牛乳の水分を吸いながらジャガイモが加熱されていくので、ほっくり&ねっとりと仕上がります。

 今はベーシックなもの、薫製がかかっているもの、トマト味のものなど、いろいろなオイルサーディンが売られているので、味のバリエーションが作りやすいのもうれしいところ。野菜が高くなる時期も補助食材を上手に使って、食卓にプラスしてみてください。

【料理家・山内千夏】