イタリアにはさまざまなパスタのソースがあります。北部でよく食べるもの、南部で食べるものなど、地方によって使用する食材もいろいろです。肉のソースもあれば、魚介のソースもあり。また野菜だけのもあれば、ナッツが主役のソースなど、有名なものだけ挙げていっても、ものすごい数のレシピが存在します。

 日本でパスタ用の肉のソースというと、誰もが知っているのが「ミートソース」。牛(または豚、合挽き肉など)の挽き肉を、タマネギ、ニンジン、セロリなどの野菜のみじん切りと一緒に炒め、トマトソースで煮込んだおなじみの味。コトコト煮込んだ野菜とお肉の美味しさがたまらないソースです。

 イタリアでは、このミートソースは「ボロネーゼ」と呼ばれ、数ある肉のソースの1つでしかありません。「ボロネーゼ」とは「ボローニャ風の」という意味で、中部イタリアの都市、ボローニャ名物のミートソースのことをいいます。日本のみならず世界中で有名なミートソースは、もともとはイタリアの1つの街の名物料理だったのです。

 一般的に、肉を使ったソースは「ラグー」と呼ばれます。中には、トマトソースの中で肉を塊のまま煮込んだ後に、その肉を取り除き(肉はメイン料理として別にいただきます)、残ったトマトベースの赤いソースを「ラグー」と呼ぶ地域もあります。このソースにはまったく肉が入っていないのに「ラグー=肉のソース」と呼ばれているのです。見た目には濃い色のトマトソースといったところですが、コトコト煮込んだときに塊肉から出てくる肉汁がトマトソースにしみ出ていて、この地域ではとても人気のあるパスタソース、家庭料理です。

疲労回復に効果のある鶏むね肉の白いミートソース

白いミートソースパスタ
白いミートソースパスタ

 今回紹介するのは、鶏むね肉をつかった「白いミートソース」のパスタ。鶏肉、とくにむね肉は高タンパクで低カロリー。しかも、むね肉のタンパク質は必須アミノ酸のバランスがよく、消化吸収がとても良いと言われています。また、ビタミンBの一種であるナイアシンを豊富に含んでいます。ナイアシンは炭水化物、タンパク質、脂質の代謝にかかわる大事な補酵素として活動します。

 さらにむね肉は、疲労回復に良い成分イミダペプチドを含んでいることでも知られています。運動後の疲労回復に、消化吸収の良い鶏むね肉はもってこいの食材。調理の際、むね肉は加熱すると硬くしまりがちですが、細かく切ってから煮込むことで、肉の硬さは気にならなくなります。ご家庭でも簡単に作れるミートソース、ぜひお試しください。