イタリアでは、昔から「肉」は全国的に身近なタンパク源。仔牛肉、豚肉、鶏肉など色の淡い肉を「白い肉」と呼び、牛肉、羊肉、ジビエなど濃い肉色のものを「赤い肉」と呼んでいます。

 よく肉を焼くときに塩・コショウで味付けしますが、その際にも、白い肉には白コショウ、赤い肉には黒コショウ、と使い分けます。また煮込む際も、白い肉には白ワイン、赤い肉には赤ワインと分けて使うことがほとんどです。

 イタリアの肉食文化をひも解くと、ローマ時代から記述があり、当時の貴族たちは豚肉、羊肉やウサギなどのほか、なんとクジャクを食べていた、という記録もあるとか。ただ、豪華な肉料理は貴族階級に限られるもので、一般市民は主に野菜や穀類が主体。肉食文化が日本よりずっと早く根付いている欧米でも、やはり肉は高価なものでした。

 現在では、主に北部から中部にかけては仔牛肉が最もよく食べられており、中部から南部の地方では豚肉や羊肉の料理が多く見られます。また、イタリアの牛肉はもともと脂(サシ)が少なく赤身主体。煮込み料理などでも、とろっと柔らかく、というよりは、噛みきれる程度の硬さに煮込んで、肉本来の味わいをしっかり噛んで楽しむのが、イタリア流調理のポイントです。

鶏肉も古くから食用

 家禽類と呼ばれるニワトリやウサギは、古くからイタリア全土で飼育され、食用とされてきました。牛や豚に比べて脂も少なく消化にもよいとされ、現在に至るまで長く親しまれています。グリルや煮込み、フリット(フライ)にして食べるのが主流です。

イタリアンハーブチキン
イタリアンハーブチキン

 今回紹介するのは、イタリアの家庭で人気の鶏肉料理「イタリアンハーブチキン」。鶏モモ肉をつかったロールチキンです。ロール状に巻き込む芯の部分と鶏肉の皮目の部分に、パン粉とハーブを使い、鶏肉から出てくるうま味をしっかりとパン粉に吸い込ませます。パン粉がしっとりと焼き上がり、パサつきを防ぐので、冷めてしまってからでも大丈夫。トマトソースで煮込んでもおいしくいただけます。

 鶏肉は高タンパクな食材で、かつ不飽和脂肪酸であるリノール酸やリノレン酸を含んでいます。冬にしっかりタンパク質やビタミン類を補給し、冷えから身体を守ることも大切な基礎体力作り。血行をよくしてくれるナイアシンを含む肉や青魚をしっかり摂取していきましょう。