チーズは数ある加工食品の中でも歴史が古く、西洋では食材が不足する冬の時期のタンパク源として、長きにわたって大切にされてきました。

 哺乳動物が出す「乳」には、タンパク質やミネラルなどの栄養が含まれていますが、チーズはその「乳」に凝乳酵素や乳酸菌を加えて固め、水分を抜いて発酵させて作ります。保存性を高めることを目的として作られ始めたものなので、当然ながら重量当たりの栄養素は凝縮し、高くなります。ビタミンCと食物繊維以外のすべての栄養素が備わっているため、「準完全栄養食品」とも呼ばれているのです。

 また発酵、熟成させることで、さまざまな風味を高めています。そのまま食べられるのはもちろんですが、欧米、特にイタリアでは調味料のように、料理に使用してきました。

うま味、深み…役割たくさん

 チーズに含まれるアミノ酸は料理にうま味を与えてくれますし、特有の香りをプラスすることで料理に深みが生まれます。こんがりとした焼き色がついたり、香ばしさをつけたり、とろみをつけたり…と役割は本当にたくさん。大切な食材であるのと同時に、万能調味料でもあるのです。

イタリア風 野菜とチーズのグラタン
イタリア風 野菜とチーズのグラタン

 今回紹介するのは、イタリアの家庭で冬によく作られる野菜料理。季節の野菜にチーズと卵を加えてオーブンで焼き上げる、野菜たっぷりのグラタン「イタリア風 野菜とチーズのグラタン」です。

 野菜はその日の気分で選んでOKですが、食べごたえのあるジャガイモベースが人気です。今回はそこにカボチャを加えましたが、茹でてざく切りしたホウレン草やスライスしたトマトなど、お好みで野菜を変えてみてもいいでしょう。さらに肉類(鶏肉やベーコンなど)を加えれば、ボリュームも満点です。

 チーズは特に良質のタンパク質、カルシウムやビタミンA、B2などのミネラルが豊富。成長期のお子さんやアスリートには最適な食品とも言われています。野菜と組み合わせることで、不足しているビタミンCや食物繊維も補えます。減量などでカロリーが気になる場合は、低脂肪でカロリー低めのカッテージチーズをうまく利用してください。

 そのままや、パンなどに塗って食べることの多いチーズをもっと料理に活かして、その栄養素を効率良く吸収していきましょう。