お刺身大好きな日本人の食卓では、もはや定番のような「カルパッチョ」。実は魚料理ではなかった、って知っていますか?

 カルパッチョはイタリアの北部、水の都と呼ばれるベネチアのリストランテで生まれた料理。このお店の常連さんだった貴婦人が体調を崩した折に、消化に負担がかからない料理を…と赤身のお肉、しかも生のものを薄く切り、お皿いっぱいに盛り付けて、ソースをかけて出したのが始まり、と言われています。

 生の牛肉! と思ってしまいますが、もともとタルタルステーキなど生肉を食べる文化のあったヨーロッパ。焼いたお肉は消化に負担がかかると言われたため、加熱をしなければ胃にやさしい、と考えたのでしょう。

 ちなみに「カルパッチョ」というのは、とある人物の名前。この料理の牛肉の色合いにちなみ、赤の色が印象的な作品を残した画家、ヴィットーレ・カルパッチョの名からつけた、といういわれがあります。いずれも諸説ありますが、1950年ごろにベネチアで生まれた料理である、ということは、まず間違いなさそうです。

 カルパッチョ誕生から半世紀以上。今では世界中に広がり、いろいろな素材のカルパッチョが楽しまれています。特に日本では、もともと刺身などの生の魚を食する習慣があったため、ちょっと洋風なお刺身の食べ方として、あっという間に広まっていったように思います。

良質なタンパク質、貧血予防効果も

カツオのカルパッチョ

 今回は旬のカツオをつかったカルパッチョを紹介します。カツオの旬は年に2回あり、初夏の「初ガツオ」はさっぱりしているのに対し、秋の「戻りガツオ」は脂がのって濃厚な旨みがたっぷり。表面をさっと焼くと香ばしい香りで、さらにおいしくいただけます。

 良質なタンパク質が豊富なカツオは、秋のものはさらに栄養価が優れていると言われています。特に貧血予防に効果があるビタミンB12やナイアシンの含有量は、魚の中でトップクラス。また、血合いの部分には鉄分も多いので、しっかりいただきましょう。赤タマネギのカンタン酢漬けを合わせると、戻りガツオの脂分もさっぱりと感じられると思います。薬味の感覚でたっぷりのせて食べてください。