人類最古の作物のひとつ、と言われている「大麦」。同じ麦でも、小麦とは何が違うのでしょうか?

 小麦は通常、細かい粉末状にし、パンや麺類、お菓子に加工されますが、これは「グルテン」という粘りを作るタンパク質が豊富に含まれるからです。一方、大麦に含まれるタンパク質は「ホルデイン」という粘りの少ないもので、大麦を粉にしたもの単体ではパンや麺にはあまり向いていないと言われています。

 パンやパスタに加工できる小麦は、昔のイタリアではとても貴重なものとされてきました。1900年代初めまでは、庶民の口にはなかなか入らないものであったと言われており、北部の農民たちは小麦の代わりに大麦を牛乳と合わせてお粥のようにしたり、そのまま茹でてスープの具にしたり、時には甘く味付けしてお菓子にしたりして食べていました。また、大麦を炒って粉にしたものを抽出し、コーヒーの代わりとして飲用していました。これはオルゾ(イタリア語で大麦の意味)コーヒーと呼ばれ、現在もイタリアではノンカフェイン飲料としてポピュラーです。

 大麦には食物繊維が豊富に含まれており、鉄分、亜鉛、ビタミンB1などの微量ミネラルも含まれ、ダイエットに向いている穀類として人気が出てきました。また血糖値を上げにくい「低GI値の食品」として、そして最近話題の「グルテンが少ない食品」として、さらに注目が寄せられています。

イタリアの夏の味「大麦のサラダ」

大麦のサラダ
大麦のサラダ

 今回ご紹介するのは、夏のイタリアの食卓によく登場する茹で麦を使った「大麦のサラダ」。特に暑い時期には人気があり、作り置きもOKです。

 茹でた大麦は、独特のプチプチっとした食感があり、食べごたえがあります。ここにお好みの野菜をたっぷり、そしてお好きな食材(ツナやハムなど)を加えることが多いのですが、今回は、低脂肪で高タンパク、アスリートにおなじみの食材の鶏のささみと海老を茹でたものを加えています。このほか、スモークサーモンやチーズ、ゆで卵など、お好みのタンパク質豊富な食材に変えていただくのもオススメです。

しっかり噛んで消化促進、夏の疲れた胃と身体にリフレッシュを

 夏の間は、どうしても水分を多量に摂取してしまい、胃液が薄まり、消化不良を起こすことがよくあります。また、つい冷たい麺類などをかき込むような食事が多くなり、「よく噛まない」ことから唾液の分泌量が減る、とも言われています。夏の終わりは、長く続いた暑い日々の疲れが身体にたまり、不調も出やすいとき。しっかり噛んで唾液を出し、唾液に含まれる消化酵素を出して胃の働きを助けてあげることも大切な体ケアのひとつです。