イタリア語で「狩人風」という意味の「カッチャトーラ」という料理があります。もともとは、狩人が森でしとめた獲物を煮込んで食べた、というシンプルなもの。獲物を保存するような冷蔵庫がない時代、肉の臭みをとるための工夫だったのでしょう。ハーブの香りやビネガーの酸味を加えて、獣肉を味つけしていた、と言われています。

 その後、地方によっては、トマト煮込みにしたり、玉ねぎやパプリカなどの野菜を加えて煮込んだり…と、さまざまなレシピができあがっていったのが面白いところです。

 今回は、ローマのあるラツィオ州風のレシピをご紹介。アンチョビのうまみとハーブの香り、そして白ワインビネガーのさわやかな酸味でさっぱりといただけるお肉料理。蒸し暑いこの時期にもぴったりの味わいだと思います。

カルニチンを含む羊肉でさっぱりと

 カッチャトーラを作る際によく使われるのは、羊肉や鶏肉など。どちらを使っていただいても、さっぱりやわらかく食べられます。今回は、ラムの骨付きロースで作る方法をご紹介します。

仔羊のカッチャトーラ
仔羊のカッチャトーラ

 羊肉は、低脂肪で高タンパクな赤身肉。羊肉のなかでも、生後1年未満のものを「ラム」、一年以上のものを「マトン」と呼びます。ラムは羊特有の香りが少なく、食べやすいお肉です。香りが気になる場合は、脂肪の部分を取り除いてから調理すると、香りを抑えることができます。

 また、羊肉には体脂肪を燃焼させ、エネルギーに変える効果があるという「カルニチン」が含まれています。赤身肉なので、鉄や亜鉛なども豊富です。さらに、煮込みに使われる酢の効果とハーブの香りで、疲労回復、リラックス効果も期待できます。

 肉類には不足しがちなビタミンC、ミネラルを補給するために、付け合わせにはグリル野菜を添えましょう。