尾澤 温かいものを食べて、カラダを冷やさないようにするのは良いね。鍋は野菜やキノコがたっぷり入るし、肉・魚、大豆加工品といったタンパク源も入るので栄養バランスが整いやすいよね。“シメ”を加えれば炭水化物もしっかりとれるから、多くのエネルギーが必要な陸上長距離選手にはおすすめだよ。

鍋料理の主な具材
鍋料理の主な具材

シュン君 最近、シメはラーメンにハマってます。キムチ鍋やカレー鍋の後に、ラーメンとチーズを入れて“味変”するのが好きです。

尾澤 おいしそうだね。キムチやカレーは香辛料も入っているから体が温まり、体温が上がることで免疫力も上がるんだよ。

シュン君 鍋は良いことずくめですね。

尾澤 夕食ももちろんだけど、「朝ごはん」をしっかり食べると朝から体温が上がるよ。

シュン君 最近は寒いので、なかなか起きられませんが(笑)、朝練もあるので朝ごはんは、なるべく食べるように意識しています。ご飯と納豆とみそ汁は毎日食べてます!

尾澤 温かいみそ汁はカラダも温まるね。野菜や卵など入れて具だくさんにすれば、それだけでもおかずになるよ。

シュン君 たまに前夜の鍋の残りを温めて食べるけど、その時は朝から食が進む気がするな…。

尾澤 色々な食材から、だしのうま味が出ているからおいしいんだよ。うま味で食欲もアップするから「朝なべ」は良いかもね!

腸内環境を整えて免疫力をアップ

シュン君 実は自分、結構、冷え性なので朝から体温を上げる工夫をしてみます。

尾澤 冷え性か…。カラダが冷えると血行が悪くなって、腸の働きも悪くなってしまうので、腸内環境が悪化しやすいんだ。記録会や試合が近づいて緊張が続くと、腸内環境に悪影響を与えることもある。腸内環境は免疫にも深く関係しているんだけど、「腸内細菌」って聞いたことはある?

シュン君 「腸内細菌」? 聞いたことはあるけど、どんなものかイメージが沸かないので…。

尾澤 想像つかないよね。実は、シュン君の腸の内には約100~1000種類、約100兆個の細菌が棲んでいます。それらは「善玉菌」「悪玉菌」「日和見(ひよりみ)菌」にグループ分けができて、悪玉菌よりも善玉菌が多いと腸内環境は良くなります。

シュン君 「ヒヨリキン」って何ですか?

尾澤 ひより菌じゃなくて「日和見菌」ね。日和見菌は善玉菌と悪玉菌のうち、数が多い方に味方する“長いものに巻かれろ”的な菌で、善玉菌:日和見菌:悪玉菌の理想的なバランスは2:7:1なんだけど、悪玉菌が増えてしまうと腸内環境が悪くなってしまうんだ。

シュン君 日和見菌を味方につけるのがポイントなんですね。では、善玉菌はどうやって増やせるんですか。

尾澤 食べ物としては、主に発酵食品に含まれるプロバイオティクス(善玉菌を届ける)と、海藻や野菜、果物に含まれるプレバイオティクス(善玉菌のエサになる)を摂るといいよ。シュン君が毎日食べている納豆はプロバイオティクスだね。

善玉菌を増やす食材
善玉菌を増やす食材

シュン君 へー! 知らなかったけど、普段食べている野菜や果物も善玉菌のエサになってるんだ。

尾澤 そう、野菜を食べることは腸内環境を整え、免疫力アップにもつながっているんだよ。

吉田トレーナー シュン君、今日は腸内環境について学んだね。毎年この時期になると風邪をひく選手が続出して、話を聞いてみると野菜が足りていない選手が多い。この冬、ベストコンディションでレースに臨むためには、野菜のチカラが必須だな。

2つの発酵食品を使ったレシピを紹介

今回は、発酵食品を2品使った「カリモチっ!海鮮キムチーズチヂミ」を紹介します。

このレシピは、プロバイオティクスで発酵食品のキムチとチーズを使ったチヂミです。キムチとチーズは相性が良く、海鮮とも合います。外はカリっ! 中はモチっ! な食感も楽しめます。エネルギーもとれるので補食にもおすすめです!

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