顔は、体の血管や組織を現しています。見た目が若い人は、体内年齢も若い場合がほとんどです。

「顔色が悪い」「目の下にクマがある」など、「顔」で体調や疲労感などがわかるため、症状の原因を知れば対策が可能です。自分や家族の顔を毎日見て、健康状態を確認しましょう。

顔色

顔の血流を支配するのは自律神経(交感神経、副交感神経)ですが、顔は皮膚が薄いため、毛細血管の状態をよく反映します。血管が拡張すると血流が良くなって顔が赤くなり、血管が収縮すると血流が悪くなって顔色が青くなります。

<顔色と考えられる原因や病気>

赤い
 感染などによる発熱、寒暖差(寒い所から暖かい所へ)、飲酒
 炎症(紫外線、乾燥、アレルギー、化粧品や薬剤によるかぶれ)
 アドレナリン(副腎皮質ホルモン)により毛細血管が拡張(興奮、緊張)
 更年期障害など自律神経の乱れ、ステロイドよる副作用
 高血圧、肝臓病(顔全体ではなく部分的に赤い)、膠原病、赤血球増加、一酸化炭素中毒など

青い
 貧血、低体温(ダイエットなどによりエネルギー不足、冷え)
 交感神経優位による毛細血管の収縮(ストレス、継続的な緊張、痛み)
 血流障害(心不全、腎不全、脱水など)

黄色い
肝臓病、胆嚢炎、胆石症

黒い
肝硬変、アジソン病(慢性副腎皮質機能低下症)

形の変化

顔の形の変化は病気が原因のことが多いため、見逃さないようにしましょう。

<顔の形の変化と考えられる原因や病気>

目の上の脂肪腫=高コレステロール血症
耳の下の腫れ=おたふくかぜ
片側の麻痺=脳梗塞、顔面神経麻痺
丸く腫れる=クッシング症候群(副腎ホルモンのコルチゾールの過剰分泌)
無表情=パーキンソン病(脳からのドーパミン分泌不足)
目の突出=バセドウ病(甲状腺機能亢進症)
痙攣(けいれん)=チック障害(原因は不明)
てんかん=脳炎、低カルシウム血症、脳腫瘍、脳血流障害など

美肌のために、ビタミンAやビタミンCが必要なのはよく知られていますが、ニキビや口内炎ができた時はビタミンB群を処方されることがあります。ビタミンのサプリメントを利用している人も多いですが、過剰症があるので摂取量は守りましょう(※ビタミンの欠乏症や過剰症のコラムを参考)。「水溶性ビタミンは過剰症がない」と考えている人もいますが、全くないわけではありません。

<顔の肌の状態と考えられる原因や病気>

ハリがない
浮腫
 食塩(ナトリウム)の過剰摂取、カリウム不足、リンパの流れの滞り
 腎機能低下、心不全、肝硬変、低アルブミン血症(血液中のタンパク質低下)
 顔や頭を体や足より下にして眠る
弾力の低下
 紫外線、ストレス、顔の筋肉の運動不足
 加齢によるコラーゲンやエラスチン減少(弾力にはエラスチンが特に重要)

しわ
 乾燥、紫外線、加齢、表情のくせなど

乾燥やしわ、ハリがないなど肌や皮膚に関するものは、化粧品やマッサージで解消できるものもあります。改善しない場合や明らかに変化が見られた時は、食生活で過不足になっているものはないか、振り返ってみましょう。もし、病気の疑いがある場合は速やかに受診しましょう。

※参考
レバーなど動物性のビタミンAは過剰摂取に注意
エネルギー源の糖質を使うために必要なビタミンB1、欠乏するとかっけに
筋肉を作るにはビタミンCも必要、ストレス時はより多く

管理栄養士・今井久美