スイミングが苦手なら水中ウォーキング

スイミングが苦手で長い距離を泳げないという人、脚やひざに痛みのある人、病後で脚の筋力が衰え陸上での歩行が困難な人にとって取り組みやすいのが水中ウォーキング(水中歩行)です。

水のなかでのウォーキングには、スイミングと同じように水の物理的性質の影響を強く受けて効果が得られる利点があります。浮力のおかげで、胸までの深さがあるところでは体重は陸上の約30%、首まで水に浸かれば約10%、全体重の約10分の1にまで軽減されるといわれます。そして、下半身の関節への負担がとても軽くなります。

陸上で5~10分ほどの準備体操を行い、プールに入っても10分ほど体を水温に慣らしてから水中ウォーキングをはじめます。

はじめは、陸上で歩くのと同じように、背筋をのばし、両腕をしっかり前後に振り、足の裏全体で底をしっかり踏みしめるようにゆっくり歩きます。バランスをくずさないようにして15~20分、100m歩くことを目指します。

この歩きに慣れてきたら、前傾姿勢を保ち、陸上のときよりも太ももを高く上げ、ひざは大きく曲げ、水を押しのけるように体をしっかり前に押しだしながら、大股で歩を進めます。

腕は、肘を軽く曲げて前後に振るか、体の前で、両手で水をかき分ける動きをします。これとは逆に、両腕を左右に広げて水を前に押しやるようにすると、運動強度がさらに増します。

水中であれば水圧によって抵抗が働き、それに逆らうように体を動かすわけですから、陸上でのウォーキングと同じ筋肉が、陸上よりも効率よくきたえられます。

どのくらいの時間、距離を歩いたらいいのかは、個人差がありますから、水泳教室で全員がそろって同じプログラムを行えるわけでもありません。

心拍数を測って自分のペースが適正かどうかを確認する方法もあります。少しでもきついと感じたら無理をせずにペースを落としましょう。

(つづく)

※「体力の正体は筋肉」(樋口満、集英社新書)より抜粋