<体力の正体は筋肉/第5章:下半身と体幹の筋肉をきたえなさい(5)>

注目されているわずか4分間のトレーニング

ローイング以外に私が注目する、有酸素運動の全身持久力を高める効果と、無酸素運動の能力を高める効果をあわせもった効率のいいトレーニング法があります。

それが、立命館大学の田畑泉教授(運動生理学)が1996年にアメリカのスポーツ医学会誌で発表した「タバタプロトコル(タバタ式トレーニング)」といわれるものです。日本ではまだあまり馴染みがありませんが、海外では広く知られていて、トレーニングジムでも取り入れられているほどです。

その特徴は、「全力運動20秒+10秒の休憩」を1セットとして、8セットくり返す。時間にしてわずか4分間を、1日に1回行うというものです。トレーニングは長時間行わないと効果が得にくいというこれまでの常識をくつがえしました。

タバタ式トレーニングの方法の図

全力運動といっても、これという決まりはありません。たとえば、ダンベルや水の入ったペットボトルを両手に持ったスクワット、その場で大きく手を振りひざを高く上げる足踏み、横になってからの上体起こし、腕立て伏せなどなど、自分にできそうなものを選んで、8セット同じ運動をくり返しても、1セットごとに替えてもかまいません。

ただ、ポイントが2つあります。1つは、「全力運動20秒+休憩10秒」という時間は正確に守らなければいけません。スマートフォンのストップウォッチ機能などを使って、時間を測るとよいでしょう。

もう1つは、「ヘトヘトになった」と感じるかどうかです。実際にやってみると意外にハードで心拍数もかなり上昇しますが、そうでないと効果は得られません。

4分間行えるように、慣れるまでは運動の強度を少し落としてみるのもよいでしょう。運動前には軽いストレッチで、体をほぐすことを忘れずに。そうしないと筋肉を痛めてしまいます。

これを毎日行うのは体に負担がかかりすぎますから、週2~3回程度からスタートします。

(つづく)

※「体力の正体は筋肉」(樋口満、集英社新書)より抜粋