これまでも「機能性表示食品」や「健康食品」などの効果や使い方についてはお伝えしてきました。

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「健康食品」を利用すると健康になるのか?その効果やメリット&デメリットは

「機能性表示食品」や「健康食品」はサプリメントとして販売されていることが多いものです。どのようにして販売が許可され、私たちの手元に届くようにできているのか、ここで整理しておきましょう。

食品の販売資格

まずは一般的な食品販売資格についてです。食品を販売するには、飲食店営業許可証、食品衛生責任者の資格、食品衛生法に基づく営業許可などが必要です。最低でも「食品衛生責任者」の資格と「営業許可」を保健所に提出しなければいけません。

以下の資格を持っている人は、保健所に申請すれば食品衛生責任者の資格を取得できます。
 食品衛生管理者、栄養士、調理師、製菓衛生師、食鳥処理衛生管理者、と畜場法に規定する衛生管理責任者や作業衛生責任者、船舶料理士

上記の資格がない人で、高校生を除く17歳以上であれば、資格者養成講習会を受講することで食品衛生責任者となれます。

食品の販売申請方法

次に販売申請方法です。一般の食品、特定保健用食品(トクホ)、栄養機能食品、機能性表示食品でそれぞれまとめました。

①一般の食品

営業開始予定日の2週間前までに、「食品衛生責任者」の資格と「営業許可」に必要な書類を提出します。保健所職員が,施設が申請内容と相違ないか,施設基準に適合しているかを検査し、問題なければ製造販売が可能です。販売する食数や取り扱う食品によって施設の基準が設けられていますが、簡易な飲食店営業の場合は緩和基準が設けられています。

②特定保健用食品

特定保健用食品とは、からだの生理学的機能などに影響を与える保健効能成分(関与成分)を含み、その摂取により、特定の保健の目的が期待できる旨の表示(保健の用途の表示)をする食品です。健康増進法に基づき食品の有効性や安全性について国の審査を受け、許可を得なければならないため、消費者庁に申請・許可が必要です。申請時に機能性を示す科学的根拠が必要です。

③栄養機能食品

栄養機能食品とは、特定の栄養成分の補給のために利用される食品で、栄養成分の機能を表示するものをいいます。対象食品は消費者に販売される容器包装に入れられた一般用加工食品及び一般用生鮮食品です。

該当する栄養成分量が、1日当たりの摂取目安量の上・下限値の範囲内にあり、基準で定められた機能だけでなく、注意喚起表示等も表示する必要があります。ただし、個別の許可申請を行う必要がない自己認証制度です。

④機能性表示食品

国の定めるルールに基づき、事業者が食品の安全性と機能性に関する科学的根拠などの必要な事項を、販売前に消費者庁に届け出れば、機能性を表示できます。事業者は自らの責任において、科学的根拠を基に適正な表示を行う必要がありますが、特定保健用食品と異なり、国が審査を行いません。

ここまで読むと、「特定保健用食品なら効果を期待できる」と考えがちですが、特定保健用食品が申請時に使った科学的根拠の研究データを確認したことはありますか? 製造・販売メーカーのHPなどで紹介しているところも多いですが、機能性があることは認められていても条件が限られている場合もあります。期待できる機能がどの程度なのかも確認すると良いでしょう。

医薬品の販売申請方法

参考までに、食品と医薬品との違いも確認してみましょう。

医薬品を販売する場合は、必ず厚生労働省への届出、承認等が必要になります。さらに十分な科学的根拠(データ)が必要です。これらを元に、厳密な薬効評価を行った結果、適切な使用対象(効能・効果)と使用方法(用法・用量等)が決まり、その後、承認されるという流れです。

承認された後も一定期間、または一定数に達するまで医薬品を使用した患者のすべての情報の収集を義務付ける場合もあり、承認後も効果や安全性を確認しています。新薬の場合、研究から承認まで9~17年も必要だと言われています。

つまり、サプリメントに医薬品のような効果を求めてはいけません。また、機能が表示されているからといって、全てを信頼できるかどうかも疑問です。食品選びの基本は第一に「安全性」。機能性を求める際も、これらのことを頭に入れて食品選択の参考にしてください。

管理栄養士・今井久美