アスレシピでは、やみくもにサプリメント(プロテインや栄養補助食品なども)に頼るのではなく、食事で栄養状態を整えることを推奨し、レシピの紹介をしています。特に成長期の子どもは内臓も未完成のため、食事を通して様々な栄養素を取り入れながら心身を大きくしていくことが求められます。

ただし、思うように食事がとれないとき、何となく体調不良を感じ、病院を受診するほどではないものの、少しでも楽になりたいという時にはサプリメントを利用するのも手です。更年期や不定愁訴が現れやすい「おとな世代」はサプリメントをうまく活用して、足りない栄養素、摂りづらくなった栄養素を補うのも良いでしょう。

私は学生時代から機能性食品やサプリメントに興味を持ち、サプリメントアドバイザーなどの民間の資格も早々に取得し、自分でも多くのものを試しています。今では種類も、使用している人も多くなってきましたが、使い方を間違っている人が多いとも感じています。どうせ摂るなら効果的に、上手な組み合わせで利用したいものです。

過剰摂取でマイナスも、摂取量を守る

サプリメントにもいくつか種類があります。安全性や有効性に関する基準などに従って食品の機能が認められ、表示されているものが保健機能食品です。保健機能食品には、特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品の3種類があります(※参考)。

これらは医薬品にあるような副作用はないと考えられがちですが、過剰摂取による副作用もあるため、必ずパッケージに記載されている摂取量を守るようにしましょう。成分の含有量が記載されていないものや高額過ぎるものは信頼しないほうが良いでしょう。

カルシウムの過剰摂取で亜鉛の吸収阻害

複数利用する場合、飲み合わせによってはマイナスに働くことがあるので注意が必要です。一緒に摂ると、消化管で結合して吸収が阻害される組み合わせがあります。

例えば、「亜鉛」と「カルシウム」です。女性ホルモンや男性ホルモンのバランスを整えることを期待して、更年期に亜鉛の摂取が推奨されています。女性が更年期以降に気になることとして骨密度低下による骨粗しょう症がありますが、カルシウムを過剰に摂取することで逆に亜鉛の吸収を阻害してしまうのです。

カルシウムは不足しやすいミネラルと言われているので、意識してサプリメントや添加された食品を利用する人も多いでしょう。単品ではなく複数のサプリメントや食品から摂取することで摂取量が多くなり過ぎている場合もあります。その結果、亜鉛不足になる恐れがあります。

食物繊維やリン酸塩の摂りすぎはミネラル不足に

「食物繊維」や加工食品に多く含まれる「リン酸塩」は、鉄、マグネシウム、亜鉛、銅といった「ミネラル」と結合して吸収阻害を起こします。腸活のために食物繊維をサプリメントなどで補っている人や、外食や加工食品を食べることが多い人はミネラル不足になりやすくなります。

また、「コレステロールが高めの方」向けの特定保健用食品(大豆タンパク質、キトサン、低分子化アルギン酸ナトリウムなどを含む)は胆汁酸と結合する性質があるため、吸収に胆汁酸を必要とする脂溶性ビタミン(A、D、E、K)の吸収を抑制してしまいます。

吸収を促進する組み合わせも

逆に「ビタミンC」と「鉄剤」のキレート作用のように、吸収を促進する組み合わせもあります。「カルシウム」と「ビタミンD」も一緒に摂ると、カルシウムの吸収を助けます。

「何となく良さそう」と思って、ダラダラとサプリメントを利用するのは効果的ではありません。健康診断の結果が悪かった場合、なぜ数値が悪くなったのか原因を考え、医療機関を受診して原因となる病気がないかを診断してもらうことも大切です。

原因を改善するためにはまずは食生活を改めること。その上で、食事療法の効果を補助するために必要であればサプリメントを利用しましょう。自分の体としっかりと向き合ってみてください。

管理栄養士・今井久美