ブロッコリーが「指定野菜」に追加されることが、このたび決まりました。指定野菜とは、野菜の中で特に消費量の多いものを安定供給できるよう、農林水産省が定めたものです。

約50年ぶり、ブロッコリーが指定野菜に

現在の指定野菜はキャベツ、キュウリ、サトイモ、大根、タマネギ、トマト、ナス、ネギ、ニンジン、白菜、ばれいしょ(ジャガイモ)、ピーマン、ホウレン草、レタスの14品目で、新規追加は1974年のばれいしょ以来、約50年ぶりのことです。ブロッコリーは栄養価が高いことに加え、色が鮮やか、クセのない味で子どもから高齢者まで食べやすいことなどからここ10年間で出荷量が約3割も増加。国民生活にとって重要性が増したとして、2026年から指定野菜に加わることになりました。

安定供給、生産者も守られる

指定野菜となると、生産者も守られることになります。「野菜生産出荷安定法」における基準を満たす産地は 「指定産地」 とされ、農林水産省が策定した需給ガイドラインに沿って、出荷団体や生産者は供給計画を作成し、安定供給に努めていくことになります。価格が下落した際は、生産者に補助金が支払われる仕組みにもなっています。

私たちも毎日の食事の献立に、どんどん指定野菜を取り入れていきましょう。今回は野菜について、知っているようで知らない豆知識をお伝えします。

緑黄色野菜の定義、水耕栽培の葉物も

ブロッコリーは緑黄色野菜です。緑黄色野菜とは原則、可食部100gあたりβ-カロテンの含有量が600µg以上の野菜をいいます。指標は切った時に中まで色が濃い野菜ですので、キュウリやナスは緑黄色野菜ではありません。ただ、トマトやピーマンのなど一部の野菜はカロテン含量が600µg未満ですが、食べる量や頻度などを考慮して緑黄色野菜とされています。

また、土壌栽培のレタスは緑黄色野菜ではありませんが、水耕栽培のレタスやサラダ菜、リーフレタス、サニーレタス、サンチュなどは緑黄色野菜に分別されます。野菜ジュースの多くも100gあたり600µg以上のβ-カロテンを含んでいます。

β-カロテンは体内でビタミンAに変わりますが、必要な分だけ変換されるためレチノール(ビタミンA)と異なり、過剰症の心配がありません。このほか緑黄色野菜はビタミンCやビタミンE、ポリフェノールも多く含んでおり、抗酸化作用が期待できます。

やっぱり「旬」は栄養価が高い

野菜には旬がありますが、指定野菜などは旬に関係なく年間を通して流通しています。しかし、やはり旬の方が、栄養価は高くなるものがほとんどです。 例えば、冬が旬のホウレン草。「日本食品標準成分表2020年度版(八訂)」によると、夏摂りのホウレン草のビタミンCは可食部100gあたり20mgなのに対し、冬摂りは3倍の60mgも含まれています。ちなみに冷凍のホウレン草は19mgなので、旬を意識して野菜を選ぶ方が栄養価は高くなります。

スイカは野菜か果物か?

さて、「スイカは野菜か果物か」という話がありますが、園芸学の分野では「木に成るものは果物、苗を植えてから1年以内に収穫するのが野菜」となっており、スイカだけでなくメロンやイチゴは野菜に分類されています。しかし、栄養学の分野では果物です。農林水産省ではスイカは野菜ですが、「果実的野菜」と表記されています。私見としては、スイカの果実部は果物で、皮を漬物などに使用する場合は野菜として考えています。

指定野菜は食料自給率も高く、比較的に価格も安定しています。栄養面だけでなく、食事の彩りも良くしてくれます。摂取量を増やしていきましょう。

管理栄養士・今井久美