「夏場は食欲が落ちるので、美味しく食べられるお弁当の工夫はないか?」という質問をいただきました。

 なぜ夏場は食欲が減退するのでしょうか。

 暑い→冷たい飲料水の摂り過ぎ→消化能力の低下→食欲不振→疲労蓄積→だるい→食欲不振→冷たい飲料水の摂り過ぎ→消化能力の低下→食欲不振…というように、負のスパイラルに陥りがちです。私たちは「食べる」ことでエネルギーを補給しますが、「食べる」ことはエネルギーも必要とするのです。日ごろから栄養と睡眠を十分にとり、「食べる」力を残しておくことが大切になります。

負のスパイラルを断つ夏場の食事のポイント

 それでは、夏場の食事のポイントを挙げます。

 *①量より質*です。あまり食欲がなくても1日3食、バランスの良い食事を規則正しく食べましょう。バランスの良い食事とは一汁三菜+果物+乳製品です。これを続けることによって食欲も回復してくるはずです。

 *②冷たいものを摂りすぎない。*水分補給は必要ですが、食事も飲み物(かき氷やアイスキャンディも含む)も冷たいものばかりだと胃腸が冷えて消化能力が低下します。温かいスープやお茶も取り入れましょう。

 *③野菜や果物を意識して摂る。*ビタミン、水分補給にもなり、果物からはエネルギー源となる糖質補給も期待できます。野菜は推奨量の350gが摂れない時は、栄養価が高い緑黄色野菜を中心に摂るようにします。

食欲が湧く五感を刺激する食事作り

 また、五感を刺激するような食事作りも効果的です。

 *①視覚*…美味しいという記憶を導く大切な感覚です。美味しそうと感じる彩りは赤・黄・緑。まず視覚で美味しそうと感じると食べたいという要求が起こります。

 *②嗅覚*…香りからも美味しさを感じます。

 *③味覚*…美味しさそのものを感じ、さらに食べたいという要求が起こります。夏場は酸味や辛味を生かすと食欲が湧きやすいので、酢やレモンなどの酸味を効かせる、香辛料を活用するなどが考えられます。

 *④聴覚*…噛んだ時の音からも美味しさを感じます。生野菜を噛む音も効果的、ゆで野菜は音がするようサッとゆでます。

 *⑤触覚*…舌触りや食感も美味しさにつながります。切り方、大きさ、火の通し方でも変わってきます。野菜に火を通し過ぎないことは、栄養価も損なわず、よく噛むことにもつながります。

鮭の炊き込み寿司
鮭の炊き込み寿司

 写真は「鮭の炊き込み寿司」です。鮭(サケ)は良質なタンパク質源となり、紅い色のもとになっているアスタキサンチンは抗酸化力があると言われています。糖質をエネルギーに変える働きをするビタミンB1も含んでいます。枝豆もタンパク質、ビタミンB1、鉄などを含みます。

 鮭の赤、卵の黄、枝豆の緑で彩りが良くなります。酢飯にすることでさっぱりと食べやすく、また酢は夏場の腐敗防止にもなります。卵は半熟の方が消化は良いのですが、夏場の腐敗防止のためにはかたゆでにしたり、錦糸卵にしたりして完全に火を通してください。