<コロナに翻弄された人たち:2020年を振り返る>

まもなく2歳になる長女永稀(えま)ちゃんと一緒に、バスケットボール女子元日本代表の大崎佑圭さん(旧姓間宮=30)は取材場所に現れた。優しいまなざしで愛娘に目を配りつつ、質問に丁寧に答える。引退決断について話題が及ぶと、視線を前に向け直してこう言った。「もし過去に戻って選び直すことができたとしても、今回のオリンピックは諦める決断を選んだ」。

リオデジャネイロ五輪バスケットボール女子準々決勝対米国戦で、パスを出す大崎(2016年8月16日)
リオデジャネイロ五輪バスケットボール女子準々決勝対米国戦で、パスを出す大崎(2016年8月16日)

異例“無所属”で挑んだ東京五輪への道

攻守で日本代表をけん引し、Wリーグでも強豪チームで活躍してきた。妊娠を機に競技から離れていたが、出産後、東京五輪を目指し復帰を決意。育児とバスケを両立すべく、Wリーグのチームに在籍しない異例の“無所属”選手として代表入りを目指した。

練習場所の体育館を自分で確保したり、ジムに通ったりしながら個人トレーニングに励んだ。昨秋には“トライアウト”の立場として代表合宿に久々に参加し、今年2月の五輪最終予選では日本代表として全3試合に出場した。12人の五輪登録メンバー入りへ「いい1歩を踏み出せた自信はあった」。

日本代表の強化合宿で、差し入れされたバナナをおちゃめなポーズで記念撮影しながら食べる大崎(中央)。右は渡嘉敷来夢(2016年4月12日)
日本代表の強化合宿で、差し入れされたバナナをおちゃめなポーズで記念撮影しながら食べる大崎(中央)。右は渡嘉敷来夢(2016年4月12日)

手応えを感じていながらも東京五輪の開催延期により、引退の意思を固めた。「もともと半年間の短期集中という計画だった。1年延期となれば、話は変わる」。子供に負担はかけられない。保育費やジム代などすべて自己負担で、経済面の負担も大きかった。

「志半ば」で去ることにはなったが、女性アスリートに産後復帰の選択肢があることを示した。バスケ界だけでなく、スポーツ界にとって意義ある挑戦だった。【奥岡幹浩】

長女の永稀(えま)ちゃんと笑顔でツーショットの元バスケットボール女子日本代表の大崎さん
長女の永稀(えま)ちゃんと笑顔でツーショットの元バスケットボール女子日本代表の大崎さん

◆大崎佑圭(おおさき・ゆか)1990年(平2)4月3日、東京都生まれ。旧姓・間宮。東京成徳大高から09年にJOMO(のちにJX-ENEOS、現ENEOS)入りして10連覇。日本代表としては13、15、17年のアジア選手権3連覇や、16年にはリオ五輪8強入りに貢献した。16年に結婚し、18年に長女を出産。身長185センチ。

(2020年12月17日、ニッカンスポーツ・コム掲載)