親にとって子どもの成長は気になるものです。特に身長は、親も子も「少しでも大きくなりたい」と思っているのではないでしょうか。

ただし、小学校低学年くらいまでは生まれた月によって身体の大きさに差があり、成長のスピードも子どもによって異なります。大きくなってほしい気持ちもわかりますが、体格も個性の1つとして、あまり人と比べない方がいいと思います。

成長曲線をプロットしよう

乳児の時は「〇カ月健診」という区市町村の健診があり、幼稚園や保育園、小学校に行くようになると年1回の健康診断があります。結果は必ず家庭にフィードバックされますが、ただ、大きい、小さいというだけなく、下記にあるような成長曲線(厚生労働省:https://www.mhlw.go.jp/shingi/2004/02/dl/s0219-3b.pdf)に印をつけておけば、成長期の開始やピークを自分で把握できるようになります。また万が一、成長に関する病気が隠れていたとしても早期に発見、治療できる可能性があります。

成長曲線(厚生労働省HPから)
成長曲線(厚生労働省HPから)

今回は「思春期遅発症」「思春期早発症」についてお話しします。

思春期遅発症とは?

男子は12歳、女子は10歳くらいから身長がグッと伸びて大人の身体に近づきますが、男子は14歳、女子は13歳になっても第2次成長期が見られない時に「思春期遅発症」が疑われます。

男子の多くは体質や遺伝によって二次性徴の発現が遅いことが原因ですが、視床下部や下垂体からのホルモン分泌が減少していることもあります。女子の半数近くは卵巣の機能異常が原因です。また、食事制限や過度な運動によってエネルギー不足の「低栄養」である場合も稀ではありません。

男子は「14歳までに精巣が2.5㎝以上にならない」「15歳までに陰毛が生じない」「16歳以上でひげや声変わりが生じない」ものが「思春期遅発症」とされています。女子は「乳房の発達が14歳までにない」「16歳までに初経を迎えない」場合とされています。低栄養の場合はまず低栄養を改善しますが、明らかな低身長がある場合にはホルモン療法が行われることもあります。

思春期早発症とは?

「思春期早発症」とは、遅発症の逆で早く成長期が来ることで、一般よりも2~3年早く成長期が見られます。低年齢で急速に成熟してしまうため、一時的に身長が伸びた後は小柄のまま身長が止まってしまいます。幼い年齢で乳房の発育、陰毛の出現、初経発来などが見られるために、本人が外見を気にして劣等感を持ったり、戸惑ったりすることもあります。

2~3年以上早い思春期兆候が2つ以上見られる場合、1つしかなくても年齢不相応な身長の顕著な伸びや骨熟成が明らかな場合に診断されます。

日本小児内分泌学会HPより
日本小児内分泌学会HPより

原因は視床下部、下垂体が早くに活動を始めてしまうからですが、詳しい検査をしてもどこにも異常が見つからない体質的なものも多く見られます。

「思春期遅発症」「思春期早発症」において、男女とも一番気がかりなのは身長かもしれません。女子の場合、初経が遅れると骨の健康にも影響しますし、将来、妊娠できるかどうかの問題も起きます。しかし、きちんとした治療を受ければ、骨の健康も不妊の心配もなくなります。

サプリメントは身長を伸ばす?

そんな不安をあおるかのように、インターネット上には「この食品や栄養素を摂れば、身長が伸びる」とうたっている情報が多く見られます。しかし、身長の伸びは遺伝的要素と運動・食事・睡眠が整うかどうかで左右され、特定の栄養素が効くということはありません。

日本小児内分泌学会では、「身長を伸ばす効果がある」と宣伝されているサプリメント等に関する学会の見解を載せています(http://jspe.umin.jp/public/kenkai.html)。「カルシウム、鉄、ビタミンD、亜鉛を含んだサプリメント」「成長ホルモンの分泌を促進するといわれている物質を含むサプリメント」「成長ホルモンを含むスプレー」についてそれぞれ見解を述べていますので、ご興味のある方はご覧ください。

今回紹介するのは「鮭とカボチャのミルクリゾット」です。

牛乳は、骨を作る材料のカルシウムとたんぱく質を多く含みます。コップ1杯で200ml近く一度に飲むことができる上に、乳たんぱく質やカルシウムは吸収がよいと言われています。牛乳はそのまま飲むだけでなく、シチューやグラタンなどの料理に使えます。

ミルクリゾットは消化もよく、胃に優しいので、インフルエンザなど感染症で寝込んだ時や夜食として食べるのにもむいています。身体が温まりますし、これからの寒い季節にぴったりです。

女子アスリート/管理栄養士・佐藤郁子