来年度、進学や社会人になるアスリートは、次のステージに進むためにカテゴリを変えたり、本格的に取り組んでいた競技から引退したりすることもあるでしょう。「競技をやめた後、食事はどうすればいいですか?」と質問されることがあります。

激しい練習をしなくなる分、エネルギー消費量が少なくなるため、食事量も落とすことが必要だと思われがちですが、必ずしもそうでないこともあります。確かに、今までのような練習をしなければ、筋肉量が落ちたり、脂肪が増えたりと体組成の変化があるかもしれません。つまり、これからは可能な限り筋肉量を維持し、新生活に備えて食事を整えていくことが大切となります。

今回は引退後の食事ポイントについて紹介します。

引退後の食事のポイント

練習のための補食をやめる

練習がなくなるにあたり、まず何を考えるかといえば、練習前後の補食の摂り方です。今までは、3食で補いきれないエネルギー量を練習前後の補食で摂っていた選手が多いと思いますが、そのサイクルを考え直しましょう。

今後は、練習中のスポーツドリンクを含め、補食を控えるようにするとエネルギー収支が整いやすくなります。とはいえ、必ずしも補食がダメというわけではありません。補食は、「次の食事まで時間がある時や活動量が多い時」に限って摂るといいでしょう。

3食の食事内容は基本的にキープ

本格的に競技に取り組んでいた時は基本的に、主食・主菜・副菜・乳製品・果物を毎食、組み合わせて食べていたと思います。競技特性により、主食の含まれる炭水化物の量や、主菜に含まれるタンパク質、脂質の量を調整していたかもしれません。

今後は「運動量に見合った食事量」にすることが重要になるので、運動や活動量の増減によって調整していきます。ただし、主菜や副菜は今まで通りの量で摂りましょう。主菜は毎食1皿、副菜は2皿を目安に揃えます。

食事量が適量かどうかは○○で確認

食事量が適切かどうか、過不足がないかを確認するのは「体重」です。主食を減らしすぎると体重減少につながりますが、脂肪だけではなく筋肉量が低下したり、活動に必要なエネルギーが確保できていなかったりする可能性があります。

引退後、急に栄養不足になるケースもあります。自分の体格、活動や運動量に見合った食事量は必ず摂るようにしましょう。

今回紹介するのは「鶏肉とキノコのトマト煮」です。鶏もも肉とキノコや野菜をトマト缶と調味料を加えて煮込むだけ。1皿で主菜と副菜が一緒にとれます。

主食はご飯でもパンでもOK。多めに作って余ったら、ご飯と一緒にリゾット風にアレンジしてパルメザンチーズをかけて食べるのもおすすめです。心も体も温まる一品、お試しください。

女子アスリート/管理栄養士・上木明子