アスリートには毎食、果物を1皿分(手のひらの大きさ)添えるよう伝えています。消化もスピーディーで、速やかにエネルギー補給ができる果物。練習前にとれば、練習に向けたエネルギー補給になり、練習後にとれば、練習で失われたエネルギーを補給して疲労回復につながります。

いろいろな種類、年中手に入りやすい

日本では、季節を通して多様な種類の果物を1年中、楽しむことができます。海外でも、比較的手に入りやすく、安定して食べることができます。見た目もカラフルな色合いが多く、そのまま食べられることが利点。特に好んで食べる女子アスリートも多い果物の栄養について、紹介します。

果糖やブドウ糖はでんぷんよりも消化良い

果物には、単糖類である果糖やブドウ糖、二糖類であるショ糖などの糖が含まれています。これらの糖は、ご飯やパンに含まれるでんぷんと比較して消化がよく、エネルギーとして利用されるタイミングが早いため、運動前後の速やかなエネルギー補給としてお勧めです。

果物には果糖が含まれていることも特徴ですが、果糖そのものは血糖値に直接、影響しません。しかし、摂りすぎると中性脂肪値を上昇させることもあります。アスリート以外の一般の方は、運動前後や日中に限ってとるなど、摂るタイミングを工夫するといいでしょう。

水分やビタミンC、カリウムなども

また、果物には、水分やビタミンC、カリウム、水溶性食物繊維なども含まれます。水分が多いため、夏場には熱中症予防にも一役買います。野菜不足や便秘がちの場合、野菜そのものの代わりとまではいきませんが、果物の摂取量を増やして調整するのも一案です。

加えて、植物の色素であり、抗酸化作用があるといわれているファイトケミカルは、ポリフェノールやリコペン(リコピン)など多くの種類があります。これらの栄養成分は、果物や野菜そのものをとることが大切で、サプリメントではなかなか補えないものです。果物の色に着目して、何を食べるか考えてみるのも楽しいですね。

今回紹介するレシピは「アップルソテー」です。バターを少量使用しているため、消化を考えて、練習前にとるよりは、練習後や食後のおやつにとると良いでしょう。もし、練習前にとりたい場合は、バターを控えて水と一緒に加熱して「リンゴ煮」にアレンジしましょう。

ヨーグルトにトッピングしてもおいしく食べられます。いつもの果物にちょっとだけ手を入れて、見た目も楽しく、スイーツ感覚でエネルギー補給をしましょう。

女子アスリート/管理栄養士・上木明子