ケガをさせないことを一番に

大学の時は先生になるための授業で、サッカーとかバスケとかも単位を取らないといけなかったんです。今までとは違い、真剣に教えられながらやることによって、また新しいことが見えてきました。大人になってからもそうだったことを考えれば、子どもの頃にやっておけば、なおさら世界は広がると思います。

野球に限らず、小中学生に言いたいことは「いろんなスポーツをやって、どうやればうまくなるのか。どうやればこういう動きができるのか」など、頭で考えるんじゃなくて体で覚えるということ。これが運動神経がよくなるコツだと思います。スポーツ全般、やって損をすることはないんです。

ここからは教育実習に行って分かった話です。以前は「体育の授業をやるにあたり、どの子も楽しく、うまくやれるようにしてあげたい」と思っていました。でも絶対やりたくない子、やれない子もいる。その子に無理やり強要するのは違いますし、何なら先生になって一番気をつけないといけないのはケガだと気づいたんです。特に小さい子だと、ボールを持たせた時に、どこに投げるかわからない。指導者になったら、ケガをさせないことを一番に考えようと思いましたね。

ケガをしない体を作るのが一番とアドバイスしてくれた東妻
ケガをしない体を作るのが一番とアドバイスしてくれた東妻

僕も小さいころから根性論で、努力はむちゃくちゃした方だと思います。努力したから今があるとも思います。だけど、ケガに泣いた時期も長かったんで、ケガしない体を作るのが一番だと今になって思います。「うまくならないと、面白くない」というのは分かるけど、ケガで何もできないことが一番つまらない。いろいろ経験を積んでほしいですけど、やり過ぎには注意ということですね。ペースは人それぞれなので、自分に合ったペースでやってほしいです。矛盾しているようですが、焦らず経験を積むことが大切だと思います。

◆東妻勇輔(あづま・ゆうすけ)1996年(平8)4月4日、和歌山市生まれ。智弁和歌山で14年センバツ出場。日体大では17年秋のリーグ戦でノーヒットノーランを達成。18年ドラフト2位でロッテ入団。今年7月に1軍デビューし、8月1日オリックス戦でプロ初勝利。今季推定年俸1200万円。弟の純平は今年のドラフトでDeNAから4位指名。172センチ、80キロ。右投げ右打ち。

(2019年12月4日、ニッカンスポーツ・コム掲載)